皆さん、こんばんは。スウェーデン・アカデミーのメンバーと、今晩ご臨席の素晴らしいゲストの皆さまに心からのごあいさつを申し上げます。出席できずに申し訳ありません。しかし私の心は皆さんと共にあり、名誉ある賞を光栄に感じていることをご理解ください。ノーベル文学賞の受賞を、想像したり予想したりすることはできませんでした。私は幼い頃から、このような栄誉に値すると見なされた人たちの作品に親しみ、愛読し、吸
理想求めた明治の精神 「憧憬」という語は、明治中期に新たにできた和製漢語である。高山 樗牛 ( ちょぎゅう ) とその盟友、姉崎嘲風(宗教学)らが使い始めたと言われている。本書はこの語が青年たちの間に一気に広まっていく時代背景を、一個の精神史として考察する試みである。 日清戦争後、個我の意識と近代国家のイメージとの間に距離が生じ、理想と現実との 乖離 ( かいり ) があらためて意識されるようになった。「 煩悶 ( はんもん ) 青年」が時代のキーワードになるゆえんである。本書によれば、「憧憬」とは、理想の不可能を認めつつ、なおその実現に向け、現実を漸進的に発展させていこうとする修養の態度を指すのだという。その際、重要な手立てとなったのが美術と文学で、西洋文明との対決が政治社会から文化の領域に移るに従い、文明批評のためのイデオロギーとして、あらためて学問としての「美学」に注目が集まることに
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