肉のたんぱく質の主なものは、 筋原繊維たんぱく質 肉基質たんぱく質 筋形質たんぱく質 で、いずれも加熱によって熱変性を起こす。 筋原繊維たんぱく質は、網状に広がった繊維の部分。加熱すると65℃くらいから収縮しはじめ70℃以上になると固くなり、80℃付近で収縮は止まる。その後も食感は固いままだが、たんぱく質の分解・結合が連鎖的に進むため風味はよくなる。 基質たんぱく質は、繊維をつないでいる結合組織で、加熱の影響を受けるのは主にこの中のコラーゲンである。コラーゲンは鎖状につながっているが、熱によって収縮する。しかし煮込み続けることにより、切れてゼラチン質になる。筋原繊維たんぱく質が固くなっても、このゼラチン質が肉全体の食感をやわらかくするわけである。 筋形質たんぱく質は、酵素などのたんぱく質で、加熱されると変性して浮いてくる。これが肉のアクである。