子どものころからゲームが好きだった。特にファンタジー世界を舞台にしたRPG。「ファイナルファンタジー」シリーズ、『クロノ・トリガー』(1995)、「アークザラッド」シリーズ、「幻想水滸伝」シリーズ……。剣を持ち、魔法を駆使して冒険する物語に、いつでも夢中だった。 でも、心のどこかでは「これは私の物語ではない」とも感じていた。たいていのRPGには、同性に恋をする人々や、産まれたときに周りから指定された性別とは異なる性別を生きる人々が、要するにクィアな人々が存在していないのだ。私はその世界に生きる人々に、友人たちがそうしているようには自分を重ねられない、と。自分はその世界に存在する余地がないと思っていた。『Ikenfell』は、そんな私のもやもやを突き崩してくれた。 自分が「笑いもの」としてしか存在できないような世界の物語を見続けていた 私は現在36歳になるトランスジェンダーだ。生まれたときに
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