コロナ禍の今、目に見えないウイルスのために、外出を控えている人も少なくないだろう。同じように空気中を漂う「香り」という見えない存在によって健康を害し、外に出られずにいる人もいる。 東京都在住の橋本裕子さん(仮名、40代)もその1人。柔軟剤(柔軟仕上げ剤)や合成洗剤に含まれるにおいの成分を吸い込むと、目がチカチカする、頭が締め付けられるように痛む、呼吸が苦しくなるといった症状に襲われる。 ある日突然、体が香りに反応して── においによる体調不良が最初に表れたのは、今から3年ほど前のことだった。 「突然でしたね。ご近所の知り合いとすれ違ったときに、『あれ、何これ?』って。そう思ったとたん、猛烈な不快感と症状に襲われたのです」 知り合いとは日ごろからよく顔を合わせており、少し強めの香りがする柔軟剤を使っていることは以前から知っていた。ただ、それまでは近くにいてもその香りで症状が出ることはなかった