文:篠原諄也 写真:北原千恵美 千葉雅也(ちば・まさや)哲学者、批評家、作家 1978年栃木県生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース博士課程修了。博士(学術)。立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。著書に『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』『勉強の哲学――来たるべきバカのために』『意味がない無意味』『アメリカ紀行』など。 小説執筆は自分と言語との関わりの治療過程の一部 ――初めて小説を書いたのはどういう経緯だったのでしょう? もともと「物語的なものはそのうち書いてみたい」と思っていました。以前から「小説を書いてみたらどうですか」と依頼もされていました。ただ自分にとってまったく新しいことをやるというより、これまでの哲学の仕事にも物語的な要素はあったと思うんですね。 僕は哲学の仕事ではリクルートスーツを着たような論