ブックマーク / book.asahi.com (22)

  • 千葉雅也さん初小説「デッドライン」インタビュー “自由の都”への憧憬こめた東京小説|好書好日

    文:篠原諄也 写真:北原千恵美 千葉雅也(ちば・まさや)哲学者、批評家、作家 1978年栃木県生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース博士課程修了。博士(学術)。立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。著書に『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』『勉強の哲学――来たるべきバカのために』『意味がない無意味』『アメリカ紀行』など。 小説執筆は自分と言語との関わりの治療過程の一部 ――初めて小説を書いたのはどういう経緯だったのでしょう? もともと「物語的なものはそのうち書いてみたい」と思っていました。以前から「小説を書いてみたらどうですか」と依頼もされていました。ただ自分にとってまったく新しいことをやるというより、これまでの哲学の仕事にも物語的な要素はあったと思うんですね。 僕は哲学の仕事ではリクルートスーツを着たような論

    千葉雅也さん初小説「デッドライン」インタビュー “自由の都”への憧憬こめた東京小説|好書好日
    nessko
    nessko 2024/08/29
  • 岩井志麻子さん「おんびんたれの禍夢」インタビュー 虚実が溶け合う悪夢のような明治ホラー|好書好日

    岩井志麻子さん=種子貴之撮影 岩井志麻子(いわい・しまこ)作家 1964年岡山県生まれ。99年、短編「ぼっけえ、きょうてえ」で第6回日ホラー小説大賞を受賞。同作を含む作品集『ぼっけえ、きょうてえ』で第13回山周五郎賞を受賞。ホラーや怪談を中心に多くの作品を発表している。主な著作に『岡山女』『合意情死』『楽園』『でえれえ、やっちもねえ』『煉獄蝶々』「現代百物語」シリーズなど。 ぎりぎり手が届くくらいの過去 ――『おんびんたれの禍夢』は、デビュー作『ぼっけえ、きょうてえ』以来、岩井さんが得意としてきた明治もののホラーです。 結局、明治が一番書きやすいんですよね。わたしらが子供の頃は、明治生まれの年寄りがまだ生きていて、腰を90度くらい曲げて近所を歩いていました。だから昔ではあるけれどそこまで大昔でもない。ぎりぎり手が届くくらいの過去という感覚があるんです。それが今の若い人たちは、昭和レトロ

    岩井志麻子さん「おんびんたれの禍夢」インタビュー 虚実が溶け合う悪夢のような明治ホラー|好書好日
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    nessko 2024/08/24
  • 「ガラスの仮面」創作の源はここにあった 美内すずえさん異業種対談集「見えない力」|好書好日

    文:上田恵子、写真:有村 蓮 美内すずえ(みうち・すずえ)漫画大阪府生まれ。高校2年の時、「山の月と子だぬきと」でデビュー。1976年より「花とゆめ」にて『ガラスの仮面』の連載をスタートし、開始直後からベストセラーとなる。累計部数は五千万部を超え、少女漫画史上に名を残すロングセラー作品として継続中。各界から支持を受け、アニメ・舞台・テレビドラマ化もされている。ほかにも『黒百合の系図』『妖鬼妃伝』『聖アリス帝国』など著書多数。『妖鬼妃伝』で1982年度講談社漫画賞、『ガラスの仮面』で1995年度日漫画家協会賞優秀賞を受賞。 一流の人は、大きな意味でのスピリチュアルな力を持っている ――『見えない力』というタイトルのとおり、この対談集は人が持つ不思議な能力や超人的な力、見えない世界をテーマにされています。対談のお相手はお能、古武術、物理学と、皆さんそれぞれ違う分野で活躍されている方たちで

    「ガラスの仮面」創作の源はここにあった 美内すずえさん異業種対談集「見えない力」|好書好日
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    nessko 2024/08/18
    「頭の中ではもう結論は出ていますし、最終回の内容やページ構成、主人公がどんなことを喋るかも30年くらい前からすべて決まっています。ただ、なかなかそこに行きつかないんですよ(笑)」
  • 「つげ義春が語る 旅と隠遁」書評 あるがままで市井に潜む仙人?|好書好日

    「つげ義春が語る 旅と隠遁」 [著]つげ義春 他人の夢は面白くないけれど、自分の夢は面白いと思う。だから僕の夢は面白くないと人に言われても納得できる。つげさんに言わせると、夢は整理するものではない。と言いながら、書にあるつげさんの語りは隙がないほど見事に整理されている。つげさんは無分別な生き方を語りながら、その実体はなぜか分別臭い。まあ、そこが面白いのかも知れないけど。 つげさんは目立った存在になりたくない。有名にも偉くもなりたくない。賞もいらない、隠遁生活を理想として、経済生活ができれば分であるマンガも描きたくないという。どこか私小説的な生き方に見えるが、家庭を壊してまでの芸術至上主義は否定する。 だけど、ファンの中のヤセガマンを美徳としているような人たちにはつげさんはスター的な存在である。でもそうでない人にとっては人間不在を感じてしまう。 そんなつげさんはどこか仏教的世界観の人で、

    「つげ義春が語る 旅と隠遁」書評 あるがままで市井に潜む仙人?|好書好日
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    nessko 2024/08/18
  • “答え”ばかり探す現代 “問い”に満ちた文学の価値 古川日出男〈朝日新聞文芸時評24年7月〉|好書好日

    絵・黒田潔 現代人は“答え”ばかりを探す。ネットで検索する、すると調べたい事柄の“答え”が出現する。さらに高度な応答っぷりを期待して生成AIは登場したし、進化しつづけてもいる。そうした“答え”は的確だったり高速だったり簡潔だったりすれば賞讃(しょうさん)される。映画だのドラマだの小説だのにも“答え”はあって、それが粗筋だ。だから映像メディアには倍速視聴が普及し出した。小説はどうなるのだろうかとは自分は問わない。なぜならば問いかけてくる小説、こちらを困惑させるほどの“問い”に満ちた文学こそがわざわざ読書時間を投じたり費やしたりするのに価するものだと確信できているからだ。 ◇ 木村紅美の中篇(ちゅうへん)「熊はどこにいるの」(「文芸」秋号)にも巨大な問いが出る。題名にある熊、これが危険な野生哺乳類だと私たちは了解する、なのに絵やアニメでは熊はお人好(よ)しなのはなぜか? 子供たちには戯画化さ

    “答え”ばかり探す現代 “問い”に満ちた文学の価値 古川日出男〈朝日新聞文芸時評24年7月〉|好書好日
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    nessko 2024/08/03
  • イスラエルはどうしてあんなにひどいことができるの? 早尾貴紀——後編|じんぶん堂

    記事:平凡社 パレスチナ・イスラエル問題に関するオンラインセミナー「パレスチナ連続講座」に登壇する東京経済大学教授の早尾貴紀さん 書籍情報はこちら 《前編はこちらから》 ホロコーストを経験したユダヤ人とイスラエル 「ホロコーストを経験したユダヤ人が、どうしてジェノサイドをする側になるのか」という質問をよく受けます。そのことについて、2023年に日でも公開された『6月0日 アイヒマンが処刑された日』という映画を例にお話しします。ナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンは1960年に逮捕され、62年にイスラエルで処刑されました。映画ではその死体を焼却する炉を作る過程が描かれます。映画に登場する鉄工所の社長、作業員、臨時に雇われた少年工は、それぞれ、「イスラエル国民」を構成する3階層のユダヤ人グループに属しています。 1つめのグループは、イスラエルの建国運動を中心的に担った人たちです。ヨーロッパ出身で

    イスラエルはどうしてあんなにひどいことができるの? 早尾貴紀——後編|じんぶん堂
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    nessko 2024/06/09
    >日本を含めガザ戦争を容認している国々は、AI時代のセキュリティや戦争の実験例として注視し、そこからなにがしかの恩恵を得ようとしているとも見ることができます。
  • 鴻巣友季子の文学潮流(第13回) 「女性は存在しない」!? メイル・ゲイズ(男性の眼差し)を超えて|好書好日

    映画への固定観念に気づかされる 女性の内面世界や女性への暴力というテーマを描いてきたニナ・メンケス監督の最新作「ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー」(5月10日から全国順次公開)を試写で観る機会があった。映画において“メイル・ゲイズ(male gaze)”はいかに作られるか? というからくりを数多の映画を例に引いて解き明かす作品だ。メイル・ゲイズとは、おもに視覚芸術における男性的な眼差しや見方を指す語。 ヒッチコック、ゴダール、デ・パルマ、ペキンパー、タランティーノ……。「ブレインウォッシュ」は名作を例に挙げながら、視覚言語の構築法を解説する。主体と客体(見る者と見られる者)の差別化、フレーミング(女性のバストの切り取りショットなど)、カメラムーヴメント(体をなぞるようにパンする、スローモーションの導入など)、ライティング(男性は立体的に見せ、女性は平面的で理想化された美を映しだ

    鴻巣友季子の文学潮流(第13回) 「女性は存在しない」!? メイル・ゲイズ(男性の眼差し)を超えて|好書好日
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    nessko 2024/05/09
    『ハンチバック』もそうだったけれども、社会性を失わないように気をつけつつ自分の中のもやもやを維持し続ける(というか、なかったことにできない)女性主人公がリアルだった。そしてラストのうたがしみる。
  • 【特別版】芥川賞・九段理江さん「芥川賞を獲るコツ、わかりました」 小説家になりたい人が、芥川賞作家になった人に聞いてみた。|好書好日

    九段理江さん=撮影・武藤奈緒美 第170回 芥川龍之介賞受賞作「東京都同情塔」 舞台は、ザハ・ハディドによる国立競技場が世論に翻弄されることなく完成した、もう一つの東京。犯罪者を同情されるべき人々=「ホモ・ミゼラビリス」として手厚く扱うべきという社会学論が一世を風靡し、まるでタワマンのような刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。建築家・牧名沙羅は、それが当に建てられるべきなのか、生成AIやナンパした美しい青年・拓人と言葉を交わしながら自身の考えを構築しようとするが――。 読むより先に書いていた 「私、よく人間ぽくないって言われるんですよ。小さい時から親にも、りえちゃんは人間じゃないからねって言われてました」 そう言って逆光のなか悠然と微笑む九段さんは、たしかにVRのようだ。 受賞歴も常人離れしている。2017年、18年と2年連続で文學界新人賞の最終候補に。2021年で見

    【特別版】芥川賞・九段理江さん「芥川賞を獲るコツ、わかりました」 小説家になりたい人が、芥川賞作家になった人に聞いてみた。|好書好日
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    nessko 2024/04/06
  • 「星新一の思想」書評 「文学じゃない」から届いた普遍|好書好日

    「星新一の思想」 [著]浅羽通明 私は星新一の良い読者ではない。中学の頃に「ボッコちゃん」などをむさぼり読んだが、それは彼の最初期から前期、「シニカルで切れ味のあるオチ」があるショートショートの時代。「この時期の作品のみで星新一を認知している一般読者が、ほとんどなのではないか」。その一人が私だ。 ではなぜこんな駄文を書くのか。星が文学賞の選考の際に「同業者目線、専門家目線としてではなく、未知の一般読者目線」で作品に向かったことを、書で知ったからだ。文壇では彼の小説は「文学じゃない」と言われていた。しかし圧倒的に読まれていた。 文学の世界が「『外部の他者』にはさっぱりわからぬ種々の符牒(ふちょう)が行き交うようになってゆく空間」であり、星はそこから「最も遠いところで執筆していた」という。これは文学界に限るまい。政界も財界も、メディア界にも当てはまる。 星は「文学性」などという「符牒」に絡め

    「星新一の思想」書評 「文学じゃない」から届いた普遍|好書好日
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    nessko 2024/03/02
  • 鴻巣友季子の文学潮流(第4回)「M」「ハンチバック」「月」が問いかける文学と当事者性|好書好日

    小説や詩に自分の経験したことしか書けないのであればフィクションは成立せず、すべてが実録文学になってしまう。当連載の第2回に、「人間の生を象る表現行為はすべて、他者に成り代わり代弁するという行為抜きには成り立たない。アザーネス(他者性)との向き合いと理解、エンパシーこそが芸術表現の質ともいえる」と書いた。虚構における当事者性と他者性はどのように関与しあうのだろうか? 『さようなら、オレンジ』(ちくま文庫)で鮮烈なデビューを果たした 岩城けいの「アンドウマサト三部作」が『М』(集英社)をもって完結した。父の転勤にともない小学生のときに 日からオーストラリアに移住した若い男性の苦闘の成長物語であり、移民文学と言える。 作中でマサトが強烈な違和感を抱くことがある。高校で演劇に出会った彼は大学でも映画エキストラのバイトを続けているが、回ってくるのはおかしな日人の役ばかり。在豪歴が長く、英語はネ

    鴻巣友季子の文学潮流(第4回)「M」「ハンチバック」「月」が問いかける文学と当事者性|好書好日
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    nessko 2023/07/28
    『ハンチバック』は小説家(作家)をデフォルメて描いているとも読めるよね。
  • 小林信彦さん「日本橋に生まれて 本音を申せば」インタビュー 下町生まれのリアリズム|好書好日

    人生は五十一から」、のち改題して「音を申せば」。20年余り続いた週刊文春の名物連載がフィナーレを迎えたのは、昨夏のこと。 あっという間だったと、さらりと振り返るが、2017年に脳梗塞(こうそく)で倒れた。幸い、不自由を抱えつつも約半年後に執筆を再開できた矢先、骨折で入退院を繰り返す。うろたえ「壊れる私」。それでもリハビリの合間を縫い、「書けるうちに書いておこう」の一念で、完走した。 連載をまとめた単行の最終巻だけに、中身はぜいたくだ。とりわけ前半は、翻訳推理小説雑誌の編集長から放送作家になり、小説の道へ転じた自身にとって大切な人々が登場する。野坂昭如、渥美清、植木等、大瀧詠一、江戸川乱歩、大島渚、坂九、タモリら、昭和という時代の奔流の中で出会った、一癖も二癖もある顔ぶれの思い出話である。 たとえば植木等「ニッポン無責任時代」は「インチキな人間のみが成功するという鋭さ」ゆえに、単なる

    小林信彦さん「日本橋に生まれて 本音を申せば」インタビュー 下町生まれのリアリズム|好書好日
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    nessko 2022/04/15
  • 「素人」が「投稿」し、自ら動員される参加型ファシズム 大塚英志『大政翼賛会のメディアミックス』|じんぶん堂

    記事:平凡社 書籍情報はこちら 「翼賛一家」というまんがが、戦時下にあった。昭和十五年末から、多くの新聞、雑誌に連載され、単行もいくつか出た。レコード化、ラジオドラマ化、小説化などもされた。これは今のことばで言えばメディアミックス作品である。 書はこの「翼賛一家」のメディアミックスについて考えるものである。(中略) 「翼賛一家」が戦時下における政治的動員の手段として意図され、仕掛けられた「メディアミックス」であった点は書で検証していくが、それまでの多メディア展開と異なる点が大きくいって三つある。 一つ目は、これがあらかじめ多メディア展開を想定したものである、ということ。つまり、最初から「メディアミックス」という企画であったということ。「翼賛一家」の場合、同名のまんがなり小説なり、何かまず一つのメディアで「原作」に相当する作品が大ヒットし、その人気に便乗する形で二次的にアニメーションや

    「素人」が「投稿」し、自ら動員される参加型ファシズム 大塚英志『大政翼賛会のメディアミックス』|じんぶん堂
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    nessko 2022/02/13
    読者からの投稿を募集して、そこから使えそうなものを採用する、というのは雑誌でもラジオ番組でもずっとやってたし。新聞、ラジオ、映画などの大衆向けメディアの普及と関係してるでしょうね。
  • 「遊牧の人類史」書評 国家・資本に抵抗 線引きを超え|好書好日

    ISBN: 9784000254311 発売⽇: 2021/08/10 サイズ: 20cm/257,21p 「遊牧の人類史」 [著]松原正毅 書は、遊牧の起源を解き明かし、かつ現状と将来について論じたである。しかし、たんに理論的な考察ではない。私は以前に、このの著者がトルコ系遊牧民ユルックについて、長く現地で調査した民族誌を読んだことがある。ユルックもそうだが、各地で遊牧生活は消滅しつつある。それを強いてきたのは、国境線の厳格化と土地の私的所有の拡大である。つまり、近代国家と産業資主義が遊牧生活を困難にしたといってよい。 遊牧民を省いて人類史を考えることはできない。たとえば、遊牧民の動向を記録した歴史的文献として、ヘロドトスの『歴史』と司馬遷の『史記』が挙げられる。前者は遊牧民スキタイ、後者は匈奴(きょうど)を詳しく論じた。まさに「歴史」が遊牧民に注目してきたわけである。また、遊牧

    「遊牧の人類史」書評 国家・資本に抵抗 線引きを超え|好書好日
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    nessko 2021/10/06
  • 故・中村哲医師が遺した熱い思い 「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」が待望の文庫化|好書好日

    中村哲・澤地久枝(聞き手)「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る ――アフガンとの約束」 2019年12月、アフガニスタンで銃撃により命を落とした中村医師。旧ソ連軍の武力侵入、内戦、さらには米英軍の空爆、相次ぐテロなど、戦火が脅かし続けるアフガンの地で長年、ハンセン病などの治療や難民の診療に従事しました。2000年に起きた史上空前の干ばつ以降は、井戸掘りや用水路を造る活動に奔走。貧しい人々や病める人々に生きていく具体的な答えをもたらそうと、その活動は揺るぎないものでした。 中村医師はなぜ人生の大半をこの活動に捧げたのでしょうか。そこには、どのような思いがあったのでしょうか。 クリスチャンとしての信仰、幼いころに素読した論語、家族に対する情の厚さ、「縁の下の力持ち」だったというや家族、PMS(平和医療団日)職員らの支え……。作家・澤地氏との対話から医師の素顔が浮かび上がっていきます。 水

    故・中村哲医師が遺した熱い思い 「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」が待望の文庫化|好書好日
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    nessko 2021/10/04
    岩波現代文庫
  • 朝日新聞「平成の30冊」 村上春樹さんインタビュー 平成を映し、時代と歩む|好書好日

    ――平成という時代を象徴する作品として『1Q84』と『ねじまき鳥クロニクル』が、多くの識者の支持を得ました。 平成が始まってまもなく、1991年1月にプリンストン大学の客員研究員として招聘され、渡米しました。ちょうど湾岸戦争が始まって米国は重い雰囲気の中で、『ねじまき鳥クロニクル』を書き始めました。仕切り直しという気持ちが強かったですね。 昭和の末に『ノルウェイの森』(87年)が思いもよらずベストセラーになって、ストレスフルだった。日を離れ日人にも会わず、こもりっきりで、集中して書けた。『ねじまき鳥』は僕にとっても象徴的で意欲的な小説。一番大事なのは『壁抜け』です。主人公が井戸の底でひとりずっと考えていて、別の世界に通じる。深層意識の中に入って行き、出入り口を見つける。『ねじまき鳥』で初めて出てきた『壁抜け』は、小説的な想像力を解き放ち、物語の起爆装置になりました。 ――暴力や根源的な

    朝日新聞「平成の30冊」 村上春樹さんインタビュー 平成を映し、時代と歩む|好書好日
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    nessko 2019/03/12
  • コラム別に読む : 知性の顚覆―日本人がバカになってしまう構造 橋本治さん - 赤田康和 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■言説の力を信じる、たとえ「微弱」でも イギリスのEU離脱、米国のトランプ政権誕生、ヘイトスピーチの横行……。それらの背景にある「反知性主義」と向き合った。 「自分が一番愚かな読者。その私に向けて、説明しようとしている」と語るように、回り道も恐れず、丁寧に論じた思想の書だ。 東京・山の手で育ち、東京大学に進学した自分自身も解剖台に載せた。筆致はおごりも虚飾もなく誠実だ。〈「自分の頭で考えたいことを考えるためにするのが勉強だ」ということが分かると、そこで初めて勉強が好きになった〉 米国の大統領選で、メディアの批判がトランプ支持者に届かなかったように「知性」と「反知性」の間には断絶が走る。断絶を超えるには、仕事の確保など格差の解消が不可欠で、知性の側が繰り出す言説の力は「微弱」だ。でも、その微弱な力を信じている。「だって私は言説の人ですもの」 反知性主義を読み解いていくなかでたどり着いたのは「

    コラム別に読む : 知性の顚覆―日本人がバカになってしまう構造 橋本治さん - 赤田康和 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
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    nessko 2017/07/23
    アカデミー賞授賞式でのウォーレン・ベイティの醜態を想起させるサムシングがある。先生相変わらずと言ってしまえばそれまでだが、橋本先生にすがるほど朝日もついにマイノリティになったんだなという印象も。
  • asahi.com:小学生向けの辞書が急伸 火付け役は「学習法」 - ひと・流行・話題 - BOOK

    小学生向けの辞書が急伸 火付け役は「学習法」 2007年07月12日 電子辞書の普及と少子化の影響で売り上げが減り続けている紙の辞書の世界に、最近、「異変」が起きている。小学生向けの国語辞典や漢字辞典の売り上げが大きく伸びているのだ。子どもに辞書を徹底的に引かせる学習法が、注目を集めているためらしい。 昨年10月、ベネッセコーポレーション刊『チャレンジ小学国語辞典』が、ある書店チェーンのPOS(販売時点情報管理)データで突然、前年同月の2倍近い実売数を示した。「辞書が売れる時期でもないのに……」と調べたところ、9月に出た深谷圭助・立命館小学校教頭の著書『7歳から「辞書」を引いて頭をきたえる』(すばる舎)の影響ではないか、ということがわかった。深谷さんは自ら実践してきた「辞書引き学習法」を提唱している。 これは(1)ことばに関する興味が最初のピークを迎えている小学1年生から辞書を引かせる(2

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    nessko 2007/07/12
    小中学生向けの参考書、大人が読んでも楽しいよ。
  • asahi.com: アメリカの終わり [著]フランシス・フクヤマ - 書評 - BOOK

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    nessko 2007/01/18
    共産主義のパロディみたいでなんだか orz
  • asahi.com: 失われた町 [著]三崎亜記 - 書評 - BOOK

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    nessko 2007/01/13
  • asahi.com: 乱歩マニアもうなる完成度 光文社文庫の全集30巻完結 - BOOK

    光文社文庫の「江戸川乱歩全集」全30巻が最終配の第29巻をもって完結した。単行未収録の少年ものを含むすべての小説と主な評論、随筆を年代順に並べた決定版。詳細な脚注など、マニアもうならせる作りになっている。 監修者は推理小説研究家の山前譲さんと、ミステリー評論家の新保博久さん。大がかりな全集は、65年の乱歩の死去前に4回、その後3回編まれており、平成では初。新保さんは「乱歩の各小説を一つの地平で扱いたかった」という。そのため、別にされることが多い少年探偵団などの少年ものと、大人向け小説が巻のなかで混在している。 また、全集や単行が出るたびに書かれた「自作解説」も、作品の末尾にまとめて収録した。 底は、多く使われる乱歩生前最後の桃源社版ではなく、初出誌や初出。その結果、多くの「発見」があった。「猟奇の果」で、初出時に「見えぬ」だったセリフが正反対の「見える」となって流通していた。「屋

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    nessko 2006/03/04