今月中にも予定される緊急時避難準備区域の指定解除を前に、福島県南相馬市が医療体制の「復旧」を目指している。東日本大震災と福島第1原発事故で、地域医療は崩壊寸前にまで追い込まれた。医療スタッフの不足や病院の経営危機など、後遺症は深刻だ。市は医師らによる地域医療検討委員会を発足させ、医療の立て直しに動きだした。 ◎スタッフ不足・経営危機深刻/官民一体で検討委対策練る 南相馬市の医療環境は原発事故後、悪化の一途をたどった。警戒区域になった小高区では、九つあった病院・診療所が全て閉鎖。緊急時避難準備区域の原町区でも入院設備がある4病院で患者の入院が72時間以内とされるなど重い制約がある。 避難準備区域内は、原発の緊急事態に備え、国が長期入院を認めていない。病院は72時間以内に患者を区域外の病院に搬送しなければならない。 市の人口(8月15日現在)は7万1559人で、このうち約3万2000人