「国民皆保険は医療制度の根幹だ。揺るがすことは絶対にないよう取り組む」。衆院予算委員会のTPPに関する集中審議。甘利明TPP担当相は制度堅持を強調した。 国民皆保険とは、全ての国民が公的医療保険に加入し、保険料を支払う代わりに1〜3割の負担で診療を受けられる制度で、金持ちでも貧しくても平等に治療が受けられるメリットがある。開業医らでつくる日本医師会(日医)は、世界でも類を見ないこの制度が、TPPに参加すれば崩壊してしまうと強く訴える。 日医の主張はこうだ。 現在、保険で使える薬の値段や診療費は国が決め、安価に抑えている。これに対し、医療分野でも輸出拡大を目指す米国は、自由診療を広げるため、TPP交渉で混合診療の全面解禁を求めてくると想定。米国には、自国企業の高い薬を売り、高額治療に備える民間医療保険の加入を増やす狙いがあるほか、株式会社の病院参入を求めてくる可能性もあるとみている。