カツオ一本釣り船の到来を前に、宮城県気仙沼市唐桑町の漁師たちが、カツオの餌となる生きたイワシ用のいけすを海上に設置した。「餌がないから入港しない」という事態を避けるための窮余の策で、瀬戸内海から運んだイワシを放流、一本釣り船の入港を待っている。 いけすを設置したのは、イワシの定置網「大槻網」で漁をしていた漁師13人。定置網が東日本大震災の津波で流されたためイワシ漁はできなくなっていたが、一本釣り船に餌を供給する餌問屋の「今野産興」(宮城県南三陸町)に頼まれ、直径16メートルのいけすを八つ設置した。今は瀬戸内海から船で運んだバケツ約1500杯分のイワシが泳ぎ回っている。 通常は地元の定置網にかかったイワシを一本釣り船に売るが、唐桑沖のイワシ定置網は東日本大震災の津波で軒並み流失した。再開を目指す網もあるが、供給量不足は否めない。最盛期の餌不足でもないのに外から生き餌を運び入れるのは異例の