旗本三千石・永井家の分家の嫡男が恋をした。御年22、学問に通う渡し舟の近くにある茶屋の娘である。生半可な気ではないようだ。 栄三郎は市井で剣術を教える浪人だが、武家と町人との中継ぎを商売にしている。その栄三郎に永井家の用人が相談を持ち込んできたのだ。 若様の本気ぶりに引かれ、栄三郎は娘の周囲をさぐり始めると…。好き者旗本やら金の亡者やらがうじゃうじゃ。 そして、更に手強い敵がいた。「茶屋の娘などもっての他…」。若様の一段の出世を願う老養育役である。この恋、若のために成就させるためにとった、手段とは。 他に、恩ある御家の養子が辻斬りを働いたのを目撃してしまった男は…など4編。筆者はTV「水戸黄門」の脚本などが“本職”。話のツボを押さえたシリーズ3作目である。(閑) 【関連記事】 弥七が楓が八兵衛が「水戸黄門」継続訴え 水戸市長が「黄門さま」継続要望 水戸市長が「水戸黄門」存続