記者はその昔、東西の経済部で金融を担当していたことがあります。90年代後半、山一証券が自主廃業し、業務を停止したり(97年)、関西では第二地銀の経営破綻や合併が相次いだりと、いわゆる“金融危機”まっただ中の頃でした。 “銀行が潰れる”という、あり得ない事態に連日、追い回されていた訳ですが、ひとつだけ、今も鮮明に覚えていることがあります。最後のバンカーと呼ばれる西川善文・三井住友銀行元頭取(75)にインタビューした時のことです。 西川氏が旧住友銀行の頭取だった頃だと記憶しています。別に得だねをもらっただとか、そういう自慢できる話ではないし、何を質問し、どんな話になったのかはほとんど覚えていないのですが、西川氏は突然、記者にこう問いかけたのです。 「ところで君、貯金いくらある?」 全く想定外の逆質問に面食らったのですが、確か、あまりの迫力とオーラにけっこういろいろ真面目に答えたと記憶し