岸田政権が掲げる防衛力の抜本的強化に向け、装備品の開発や生産基盤を強めるための法案が、5月9日にも衆院本会議で可決される見通しだ。法案にはさまざまな支援策が盛り込まれているが、なかでも目を引くのは、企業が経営に行き詰まった際の「国有化」だ。専門家からは「企業の救済が目的になりかねない」との懸念が出ている。 法案は4月27日の衆院安全保障委員会で自民、公明の与党のほか、立憲民主、日本維新の会、国民民主の野党も賛成に回り、可決された。日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなか、防衛力の強化自体には野党の大半が理解を示している。衆院本会議で可決されれば、法案をめぐる論戦の舞台は参院に移るが、議論は深まっていない。 政府が異例とも言える支援に乗り出すのは、「防衛産業は防衛力そのもの」(浜田靖一防衛相)と考えているからだ。護衛艦や戦闘機などの装備品をつくる企業は、三菱重工業や川崎重工業、三菱電機な