日本経済はこれからどうなるのか。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史さんは「日銀の新総裁に植田和男・元東大教授が就任した。優秀な学者だが、異次元緩和の後始末は誰がやっても不可能だ。近い将来の日本円の紙くず化は避けられないだろう」という――。 日銀の植田新総裁は、日銀を正常化できるのか 4月9日、日銀の植田和男新総裁が就任し、新体制がスタートした。 黒田前総裁が10年続けた「異次元の金融緩和」で国債の爆買いを続け、日銀財務は大幅に悪化した。市中にお金をばらまき、副作用が目立ち始めている。日銀はもはや元には戻れない危険な状態になってしまった。 これをどう正常化できるか、「異次元緩和の出口」をどうするか、植田新総裁の手腕が問われることになる。 植田総裁に残された選択肢はあるのだろうか。 これが本稿のテーマである。 日本金融学会の機関誌『金融経済研究』2023年3月号