「真実は知り得ない」と思い込ませる スタンフォード大学で科学史を研究するロバート・プロクター教授は、地球科学に関する世界最大の会議に登壇し、工業用タバコ製造機の写真を紹介していた。しかし、それを見たことがある聴衆はほぼ皆無だ。それこそが、プロクターが言わんとしていたことだった。 プロクターは気候科学者たちを前に、化石燃料業界がどのようにして、自社製品に厳しい目が向けられるのを回避したかを説明していた。その多くの戦術は、タバコ業界が先駆けて取り入れていたものだ。 写真で紹介した工業用タバコ製造機を目にした人がほとんどいないのは、タバコとそれに起因する健康被害に人々の関心を向かないよう、業界が仕組んだためだという。