福井県の杉本達治知事(右)にフランスへの燃料搬出方針を伝える関西電力の森望社長(左)=福井県庁で2023年6月12日午後5時32分、田畠広景撮影 ウルトラCか、それとも奇策か――。福井県内に3カ所の原子力発電所を構える関西電力が6月12日、県に示した案が波紋を広げている。原発から出る使用済み核燃料の行き先を巡り、県に対して関電が2021年に交わした約束を思いも寄らない方法で「ひとまず果たした」と言うのだ。そこに至った経緯を取材すると、関電側の焦りが浮かび上がってきた。 迫る約束の期限 発端となった21年の約束は、関電の不退転の姿勢を示したはずだった。 東京電力福島第1原発事故後の13年、原発の運転期限を「原則40年、最大延長20年」とするルールが定められた。延長するには地元同意が必要となり、福井県内では20年秋以降、該当する美浜原発3号機(美浜町)と高浜原発1、2号機(高浜町)の3基に関す