ベナンのバイヤーに好評だった梅酒と日本酒を前に「飲むグラスや温度なども伝えていきたい」と話す粂宏明さん=奈良市で2023年5月9日午前10時49分、塩路佳子撮影 日本から約1万3000キロ離れた西アフリカのベナンで、日本の酒が広がっている。直接的な販路ができたきっかけは、代表と従業員わずか計4人の小さな会社に送られてきた一通の詐欺メールだった。 「日本酒を輸出してほしい」。2020年9月、日本酒やワインの輸出を手掛ける酒類販売会社「シマヤ」(奈良県天理市)にベナンの現地企業関係者を名乗る人物から英文のメールが届いた。初めての商談にもかかわらず1000万円以上の取引を持ちかける内容で「発注数の多さを不審に思った」と代表の粂(くめ)宏明さん(56)は振り返る。 西アフリカの国からの注文を受けた前例もなく「(自社の)メールアドレスをどこで知ったか」と問いただしても答えは得られなかった。メールの送