第143回 睡眠不足で悪くなった物覚えを改善する意外な方法とは？受験シーズンまっさかりである。私が大学受験をした1980年代当時は、今では死語となった「四当五落」という言葉をまだちらほら耳にした。睡眠時間を4時間に切り詰めて勉強した者は合格し、5時間では落第するという意味で、寝食を忘れてモーレツに頑張るのが美徳とされた高度成長期・昭和ならではの造語である。睡眠不足があると十分なパフォーマンスを発揮できない、かえって損をするという科学的知見が増え、啓発が進んだ賜物か、最近の受験の指導書では「六当五落」などと書かれているようだ。それでも短いと思うのだが。 睡眠時間を削ってやみくもに記憶するよりも、新しい単語や動作（運動）を憶えた後にぐっすり眠ると記憶をよりしっかりと保つことができる（記憶固定できる）ことが人や動物を対象にした数多くの研究で明らかにされている。睡眠不足は単に日中の眠気や集中力低下をもたらす結果として学習効率を低下させるだけではなく、記憶を固定
