村上龍の『13歳のハローワーク』が好評だった理由のひとつは、職業自体の選択でしか著者の主観的な評価を表現しなかったことにある。現代の仕事のパノラマとしては、社会的に非常に高い評価を得、そして目覚しい売れ行きを示したのは、著者のこの種の禁欲的な戦略が成功したためだろう。それに対して本書はほぼ同年齢の読者を対象にしながらも著者の仕事への考えを吐露した書き方になっている。本書の巻末には全国の労働相談コーナーやジョブカフェなどの公的な機関の問い合わせ一覧がかなりの比重で掲載されている。 本書が重視している視点は、「ちゃんといいかげんに生きる」という著者の標語に表れているように、自分のやりたい仕事を見つけることに焦ることはない、というものである。そして自分が本当にやりたいと思っている仕事は人に説明することができるし、また人の仕事への熱意ある態度を理解する上で、共感という感情が重要である、とも本書では
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