全体的UXをある時点に集約して考えることは可能ではあっても、それをそれまでの評価値から説明することは困難である。UXの評価の動的な変化に注目し、どのような側面がその高い/低い値をもたらしたのかを定性的に考察するアプローチ以外には、UXを全体的に把握することはできないし、その意味もない。 黒須教授 2017年10月23日 UX白書の記述 『UX白書』(2011)は、UXに関する未整理で混沌とした当時の状況に一石を投じたものであった。編者のRoto等は、なかなか良い指摘をしているが、長期的な視野にもとづいた累積的UX(cumulative UX)という概念を提示したことはその特徴の一つである。なお、白書のもとになったDagstuhl Seminarには僕も参加したが、白書の執筆はRoto達だけでやったことである。 さて、累積的UXがどういう概念かというと、白書では「システムをしばらく利用した後