日本の財政をめぐる議論には時としてユニークな見解が登場する。「増税をすると将来不安が消えて消費が増える」がその代表例であるが(この点については後半で詳述)、「財政ファイナンス」をめぐる議論もそれと並んで興味深いものだ。安倍元総理の「日銀は政府の子会社」という発言をうけて、このところまた財政ファイナンスという言葉をよく見かけるようになったが、その意味するところは必ずしも明らかではない。 そこで、以下では財政ファイナンスというキーワードをもとに、政府と中央銀行の関係や財政政策・金融政策の運営のあり方について考えてみたい。 1.「財政ファイナンス」と中央銀行の「独立性」 データを確認することの重要性 経済政策をめぐる議論については、それぞれの人の政治的・社会的な立場によって意見が分かれることが少なくない。財政ファイナンスをめぐる議論も2013年以降に採られてきた経済政策の枠組み、すなわちアベノミ
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