『科学革命の構造』と相対主義 Thomas KuhnのStructure of Scientific Revolutionsという本は、Google Scholarによる学術論文・学術書における被引用数が断とつに一番多いそうだ。*1ただ、言及されることは多いけれど、いったいこの本は本当に読まれているのか、疑問に思うこともある。とりあえず、パラダイムという言葉の流行を作った本で、この言葉が出るたびに、その意味がなんであれ、あるいは出した著者がこの本を読んだかどうかにかかわらず、言及されるので、上のような結果になったのだろう。 前のDastonの論文のところでもふれたように、この本は多様な読まれ方がされているわけだが、その多様な読まれ方がさらに独り歩きして、もともとも著者の主張とはだいぶかけなけれたところへ行ってしまっている面が大きい。その結果、この本は反科学的な、相対主義の元凶というレッテル