大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語」を探して欲しい、という依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり―。五つの物語に秘められた真実とは?青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。精緻きわまる大人の本格ミステリ。 「BOOK」データベースより 『リドルストーリー』という言葉をご存知でしょうか。 物語の形式の一つで、物語中に示された謎に明確な答えを与えないまま終了することを主題としたストーリーのことをいいます。 本書は未解決事件と五つのリドルストーリーが密接に関係していて、その謎を解くことに主眼が置かれたミステリです。 米澤さんといえば『氷菓』などの青春小説のイメージがある人もいると思いますが、ダークな部分にも強い魅力があり、本書にはそのダーク