『十二神将変』っていうタイトルの小説冒頭で男が死んで、その鞄に十二神将像のひとつが入っていたら、あと十一人が次々と死んでいく展開を期待してもバチは当たらないのではなかろうか。そういう次になにが起こるかへの期待で読ませるエンタメにどっぷり浸かった脳だから、かしこい小説を読めないのだろうか、かしこい小説を読むことが目的化してる時点でかしこさとは程遠いのだが、そもそもエンタメに徹した小説だって大概かしこい人が死力を尽くして書いているのに、わたしときたら変な間取り図も複雑なトリックもほぼ理解することなく読み流し、登場人物がひとりずつ死んでいくおどろおどろしい雰囲気を漫然と楽しんでいるだけで……おまえ(=わたし)は本当に度し難い……最低の読者……と考えながら、今日も会社に行く。 周囲の人は今のところ新型コロナには罹っていないが会社全体での報告件数は増えていて、輪がじりじりと迫ってくるような気持ち。