初期のコンピュータゲームの歴史は、意味の記号化の歴史でもあった。ゲームごとに多少の差はあれど、「ドア=入れる記号」であり、火は触ると死ぬものであった。 ゲームは、現実世界とは区別された、すべてが明確に記号化された世界であるのが、ユーザーの共通認識であった。なぜなら、そのグラフィックが、我々が認知している現実世界と比べて、あまりにも制限されたものだったからだ。 80年代、90年代とグラフィックは進化するものの、それほどユーザーに混乱をきたすものはなかったように思う。なぜなら、それらの多くは2Dのゲームであり、プレイヤと同軸にあるもの以外は「背景」であり、ゲームプレイと無関係だと自然に飲み込めたからである。 しかし、いつしか、3D空間を自由に移動できることが当たり前になったことで、いわゆる「背景」と、ゲームに関係する対象の境界が曖昧になった。プレイヤが意識しなければならない対象は、XとYの垂直