プロ野球もキャンプ入りし、盛り上がりを見せているが、「国民的スポーツ」と称されるプロ野球で起こった「大事件」の裏側を、当時を知る人々の証言を元に明らかにしよう。 * * * 球界で、これほど知られた“迷言”もない。 「ベンチがアホやから野球がでけへん」 1981年シーズン途中で、阪神・江本孟紀が引退するきっかけとなった一言だ。8月26日、先発の江本は8回に3連打で2失点し1点差に追い上げられ、なお2死二塁の局面を迎える。 「次は8番打者。普通は敬遠か投手交代かでしょう。内野陣が集まったが、ベンチを見たら監督の中西(太)さんがおらんのですわ」 こう語るのは当の江本氏。 「中西さんは“肝心な時に逃げる”というので有名だったが、まさかこの場面でいなくなるとは思わなかった(苦笑)。セオリーなら一塁が空いているから敬遠。仕方ないので、様子を見るために投げたボール球に、打者が飛びついてきた。 打球は外
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