薄幸のストライカーである。 素晴らしい才能の持ち主であることは、誰もが知っている。ところが、なぜか主役の座が巡ってこない。スポットライトを浴びかけると、いつも見えざる力に邪魔をされるように、日陰へと追いやられるのだ。 2000年代にリーグ・アン7連覇を成し遂げた黄金期のリヨンで頭角を現したカリム・ベンゼマが、激しい争奪戦の末にレアル・マドリーに引き抜かれるのは'09年の夏、彼が21歳の時だった。 もっとも、2007-08シーズンに20歳でリーグ・アン得点王に輝いた逸材も、“白い巨人”にあっては補強の目玉ではなかった。 カカ、ロナウドが目玉補強だった。 この'09年の6月に会長職に返り咲いたフロレンティーノ・ペレスは、第1次政権時代と同じくビッグネームを買い集めることで、強いマドリーを取り戻すと公言。いわゆる「第2次ガラクティコス(銀河系軍団)」を築き上げるべく、補強費として2億6740万ユ