最初は「冗談のような」アイデアだった――。 フランス南東部の町、ペリュサン。ヨーロッパアルプスを遠くに臨み、中世に建てられた石造の城がシンボルとなっている、人口わずか3000人ほどのこの町の中心部に、2016年、一風変わった建物がオープンした。入り口のそばの木札に黒々と揮毫(きごう)されたその名は「昇涙酒造」。そう、ワインの国であるフランスに初めて作られた日本酒の酒蔵である。 フランス語で「Les Larmes du Levant」と呼ばれるこの酒蔵だが、創立以来国営ラジオ局France BleuやLe Figaro紙など現地メディアに取り上げられ、日本料理好きのフランス人のみならずミシュランの星付きレストランのシェフやソムリエの間でちょっとした話題になっている。 アルコール飲料の中でメジャーとは言えない だがそもそもフランスでは、日本酒はアジア系のレストランで提供される質のよくない輸入物
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