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ブックマーク / note.com/airspice (55)

  • 120.鶏肉と玉ねぎだけで作るカレーは美味しいのか? 問題|水野仁輔

    イベントと忘れ物は、切っても切り離せない関係にある。地元浜松の里山再生プロジェクトで森にカレーを作り行った。車を降りてから20分ほど山を分け入り、会場に到着。薪に火をつけ、鍋をセットして油を注ぐ。玉ねぎと塩を加えてざっと混ぜ合わせ、ひと息。さて、ジンジャー&ガーリックの準備に取りかかるか、と辺りを探す。ん? ない。 「にんにくとしょうがは?」 「あ!」 「トマトは?」 「あー!」 「……」 「買いに戻りましょうか?」 「いや、大丈夫です」 イベントと忘れ物は、切っても切り離せない関係にある。そして、ピンチはチャンスである。何のチャンスかって? 僕の大好きな実験をするチャンスなのである。にんにくとしょうがとトマトがない状態で、カレーをおいしく作ることはできるのだろうか? 手元にある材料は、次の通りである。 ↓ 1.玉ねぎ 2.鶏手羽元肉 3.油/塩/水/スパイス おおお。なかなかドキドキする

    120.鶏肉と玉ねぎだけで作るカレーは美味しいのか? 問題|水野仁輔
  • 118.チキンカレーは丸鶏から作るのがベストなのか? 問題|水野仁輔

    新刊が出たのに既刊にまつわるお話。 去年、『わたしだけのおいしいカレーを作るために』というを出した。1冊で1レシピだけをエッセイ形式でじっくり紹介する内容だ。そこで僕が、「僕だけのおいしいカレー」として紹介したのは、丸鶏をさばいて作るカレーだった。それが一番好きだからだ。自分でさばけばすべての部位を余すところなく使える。チキンカレーを作りたくなる衝動は、丸鶏を見つけたときだと書いた。それは今も変わらない。 ただ、ひとつだけ自分に対して文句があった。 部位ごとに火の入り方が違うのにひとつのカレーにしてしまっていいの? の中では、「盛り付けた器ごとに部位の違うチキンが楽しめるのもいい」くらいのことで、そこはさらっと済ませていた。そういう部分も確かにある。けれど、同じタイミングで鍋に加えて同じ温度と時間で加熱したら、当然、部位ごとに味わいや感に差が出てしまう。そのレシピでは最も火入れに時間

    118.チキンカレーは丸鶏から作るのがベストなのか? 問題|水野仁輔
    nobodyplace
    nobodyplace 2019/06/26
    煮込んで引いておく、しかないのかなあ
  • 117.シナモンリーフをカレーに使う意味はあるのか?|水野仁輔

    シナモンリーフは、カレーにおける永遠の補欠である。ずっと前からそう思っていた。ずっとベンチを温めている存在。ベンチに入らなくてもいいんじゃないか、と思ってもいた。カレーを作るとき、特にインド料理の場合、インディアンベイリーフとも呼ばれるシナモンの葉をはじめに油で炒める手法がある。何度もそうやってきたが、ずっと疑問があった。 シナモンリーフ、入れなくてもいいんじゃない? 鍋に加える前に1枚を手に持ち、香りをかいでみる。無臭である。この香りのない乾燥した葉っぱを他の香り高いホールスパイスたちと一緒に油で炒める。そこになんの意味が? しかも、このシナモンリーフってやつは、でかいのである。大きいと手のひら大ほどのものもある。炒めるときに邪魔なのだ。 それでも僕は真面目に炒めてきた。炒めたところでナンの香りも漂ってこなかった。あるときから、「カレーにシナモンリーフを入れるのは、おまじないみたいなもの

    117.シナモンリーフをカレーに使う意味はあるのか?|水野仁輔
  • 116.レッドチリは真黒く焦がしても大丈夫なのか?|水野仁輔

    カレーを作るときに丸のままのレッドチリをどこまで炒めるのかは作り手によって好みがわかれるところだ。真っ黒になるまで炒める人は少なくない。僕も作るカレーによってはわざと焦がす場合がある。これがカレーではなく、イタリア料理のアーリオオーリオだったら違う。レッドチリを真黒くしてしまったら、きっと出入り禁止になるだろう。四川料理だって、朝天椒をはじめ何種類かのレッドチリを使うけれど、真黒くなった状態はあまり見ない。だから、基的にはレッドチリは焦がしてはいけないスパイスなのだろう。 それでも、真黒く焦がしたレッドチリが使われたカレーがなぜかおいしいから困っている。カレーに使うレッドチリは真黒く焦がしてはいけないのだろうか? 青川峡キャンピングパークで150分のカレーを作る機会があり、キーマカレーとポークカレーを75ずつ作ることになったから、ポークカレーの方で実験することにした。実験といっても、

    116.レッドチリは真黒く焦がしても大丈夫なのか?|水野仁輔
    nobodyplace
    nobodyplace 2019/06/05
    “焦がしたけれど焦げていないチリをブラックチリと名付ける”
  • 115.スパイスの投入タイミングはどこがベストか? 問題|水野仁輔

    スパイスでカレーを作るとき、鍋にスパイスを投入するタイミングは大きく3つある。はじめのスパイス(最初)、中心のスパイス(真ん中)、仕上げのスパイス(最後)である。合間合間に玉ねぎやトマト鶏肉や水分などがはさまって、構造としては「香り」と「味」を交互に重ねていくことでカレーはおいしくなる。これをゴールデンルールと僕は呼んでいる。あくまでも基ルールだから、イレギュラーなことはいくらでもあるし、意図的にルールから離れたり、ルールを破ったりすることもある。 そこで、大胆にルールを無視してみようと思った。カレーに使うスパイスをすべて最後の最後に持ってきたらどんな味わいになるのかを試したくなったのだ。こういうことをしたくなるのは、中学、高校と、割と真面目に校則を守って学生生活を送ってきたことの反動だろうか。校舎の窓ガラスを割ってみたりしていれば、カレーを作るときくらいはルールを守ろうとしたはずだ。

    115.スパイスの投入タイミングはどこがベストか? 問題|水野仁輔
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    nobodyplace 2019/05/24
    意外な結末
  • 114.足し算と引き算、カレーをおいしくするのは? 問題|水野仁輔

    秋葉原で開催された「dancyu祭り」というイベントで、カリーソルジャーのメンバーが「半熟レバー入りチキンカレー」を作った。7種類のパウダースパイスをミックスしたカレー粉に2種類のブイヨン、香味油、そして、具に鶏肉とレバーを使ったもので、うまかった。 2日目にまた同じメニューのカレーを20、佐藤ソルジャーは作ってくれたのだが、同じことを繰り返したくない性格なのか(だとしたら僕と一緒だ……)、初日のカレーからアレンジを加えてきた。簡単なコメントが彼から来た。 ↓ 「昨日のものに玄米黒酢とたまりと鰹、椎茸、昆布、煮干しの合わせ出汁を加えてます」 やり取りの中で何度か「超うまい」と人が自信をのぞかせていたカレーは、確かにうまかったが、僕は初日の方が好きだった。 それで考えたことがある。佐藤ソルジャーは、おいしくなる要素(素材)を足し算して作っていった。に人としては、より美味しくなっていく印

    114.足し算と引き算、カレーをおいしくするのは? 問題|水野仁輔
  • 113.素材を焦がしたらカレーはまずくなるのか? 問題|水野仁輔

    サバのみりん干しを焼くと、お腹の薄い部分が真黒く焦げることがある。あの焦げが割と好きだ。そういえば、小さいころ、トースターで焼いたコッペパンの真黒く焦げたてっぺんの部分も好きだった。焦げってまずいんだろうか? カレーを作るとき、玉ねぎを焦がしてはいけないと僕らは聞いてきた。「焦がしてもいいくらいの気持ちできっちり火を入れてください」と今の僕は言っている。程度の問題もあるけれど、焦げるということがそれほどネガティブなものではないことは、もう知っている。焦げることを怖がって火入れが弱くなり、ぼやけた味のカレーにするくらいいなら、焦げることを恐れずに火を入れてメリハリの効いた味にしたほうがいい。 この点について、(僕の記憶が確かならば)自著『カレーの奥義』(NHK出版)の中で老舗カレー専門店「デリー」の田中社長と話したことがある。焦げには3段階あるという話だ。 ↓ 1. 焦げ色がつく 2. 焦げ

    113.素材を焦がしたらカレーはまずくなるのか? 問題|水野仁輔
    nobodyplace
    nobodyplace 2019/04/25
    焦げの程度か。思考の粒度が細かくてほんと勉強になる
  • 112.かたまり肉を最も柔らかくする素材は何なのか? 問題|水野仁輔

    かたまり肉を柔らかくしたいときに有効だと言われているものは、いろいろとある。玉ねぎ、キウイ、ヨーグルト、まいたけ、砂糖、はちみつ、炭酸、酒、コーラ、重層、パイナップル、塩こうじ、いちじくなどなど。 そういえば、僕もタンドーリチキンなどでマリネにヨーグルトを使うときに「これで肉を柔らかくする効果もあります」的なことをこれまで言ってきたような気がする。でも、当だろうか? とどこかで疑問を持ってもいた。ヨーグルトで肉は柔らかくなるの? 当に? アウトドアで料理する機会があったときにいくつかの手法を試してみることにした。選んだのは4アイテム。 ↓ A. 玉ねぎのすりおろし B. 炭酸水 C. プレーンヨーグルト D. パイナップル さらにハチミツもチョイスしたが、はちみつについては、A~Dのすべての肉に対して同量を加えることにした。牛肉の塊肉を600グラムずつ4つ準備する。 まず、はじめに頭を

    112.かたまり肉を最も柔らかくする素材は何なのか? 問題|水野仁輔
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    nobodyplace 2019/04/17
    料理という科学は奥深い
  • 110.マッサマンカレーは本当に世界一うまいのか? 問題|水野仁輔

    CNNインターナショナルが「世界のおいしい料理ランキングベスト50」みたいなものを発表したのが、2011年のことだったようだ。そのときに堂々の1位に輝いたのが、タイのマッサマンカレーだった。そのため、一部で知名度がグンと上がり、都内のタイ料理店でもマッサマンを新たにメニューに加える店が急増した記憶がある。 当時、僕には全く興味のない話題だったのでスルーしてしまったが、「当に世界一うまいのか?」問題は、きっと勃発しただろうし、「そんなの、豚肉の生姜焼きとかさぬきうどんの方がうまいに決まってるだろ~!」みたいな声(すみません、水野の完全な私見です)も出たことだろう。 8年も経てばすっかり鳴りを潜め、この話題は誰も触れなくなった。リバイバルもなければ、オールディーズとして再評価されそうな気配も今のところはない。だからこそ、天邪鬼な僕は、そろそろ、ちょっと考えてみようかな、と思ったのだ。 タイに

    110.マッサマンカレーは本当に世界一うまいのか? 問題|水野仁輔
    nobodyplace
    nobodyplace 2019/04/02
    水野さんのマッサマンの分析が面白い
  • 109.タンドーリチキンのおいしさの秘密は何か? 問題|水野仁輔

    タンドーリチキンが好きだ。毎年訪れるインドでは、到着場所がどの町であっても、最初に口にするのは、タンドーリチキンとビールにすると決めているくらい好きだ。おいしさの秘密は、ジューシーに焼かれた鶏肉の風味にあると思っている。その風味を生み出しているのは、主にスパイスを使ったマリネ液である。 好きだから自分でもよく作る。先日、久しぶりに自宅にあるタンドールを稼働させ、タンドーリチキンを焼いた。時間に余裕があるときには、マリネは2日前に済ませることにしている。しかも、マリネする前に下味をつけることも忘れない。 僕に「タンドールのキホンのキ」を教えてくれた、初台「たんどーる」の塚シェフのレシピを踏襲して、ジンジャー&ガーリックペーストや塩、レッドチリパウダー、レモン汁などを鶏肉に揉み込み、2~3時間おく。これをするかしないかで、肉の中まで風味が浸透する度合いが変わる。 さて、下味がついたらいよいよ

    109.タンドーリチキンのおいしさの秘密は何か? 問題|水野仁輔
  • 108.メティシードはどこまで焦がしたらいいのか? 問題|水野仁輔

    長年抱えていた疑問に答えが出そうだ。 メティシード(フェヌグリークシード)というスパイスがある。マメ科の植物の種で、加熱をすると甘い香りがするスパイスだ。問題は、同時に苦い味もすること。甘い香りは欲しい、でも苦い味は勘弁。たいていは油で炒めるのだけれど、いったいどのくらいまで炒めたら、どのくらいまで加熱したら、どのくらいまで焦がしたらいいのかがわからなかった。これがなかなかの難問で、インド料理店のシェフが集まる研究会でも、さまざまな意見が飛び交う。インド人シェフの実践例もバラバラで、この問題がずっと解決しないままだった。 先月、ネパールのカトマンズで家庭料理を習った。アチャールを何種類も作る。たいていの場合、メティシードを油で炒めるのだが、これが初めて見る方法だった。マスタード油を煙が上がるまで熱し、そこにメティシードを加えると真黒くなるまで炒めるのだ。いや、真っ黒になってもなお、次に進ま

    108.メティシードはどこまで焦がしたらいいのか? 問題|水野仁輔
  • 107.クスクスはカレーなのか? 問題|水野仁輔

    クスクス用ミックススパイスというのを見つけて、買ってみた。クスクスがそれほど好きでもないのに買ってしまっただけに使うのに困った。どうしようか。ふと、カレーにしてみるか、と思った。クスクスミックスでカレーを作る背徳感。クスクスはカレーなのか? 問題の始まりである。 オーソドックスな作り方で。にんにく、しょうが、玉ねぎを炒めてトマトを加え、クスクスミックスを加えて水と鶏肉を加えて煮込んだ。べてみるとカレーの味がする。なるほど、クスクスはカレーだったか! そこで終われば平和なヒトトキだが、そうはいかない。 まず、なぜあれがカレーになったのかを知りたくなる。クスクスミックスの袋に書かれた原材料をチェックする。 * クスクスミックス……ターメリック、コリアンダー、キャラウェイ、ガーリック、ブラックペッパー、塩 どの部分で僕はカレーを感じたのだろうか。答えは簡単だ。ターメリックとコリアンダー。さらに

    107.クスクスはカレーなのか? 問題|水野仁輔
  • 106.煮込めば煮込むほどカレーはおいしくなるのか? 問題|水野仁輔

    おいしいカレーを表現するのに煮込み時間の長さを標ぼうするスタイルは、もう昔の話と言ってもいいのだろうか? いや、今でもそれが機能する世界はきっとあるのだろう。おいしい、はとても曖昧な基準だから正解は出せないのだけれど、「煮込めば煮込むほどカレーがおいしくなる」という考え方は、正解であり不正解でもある。材には適正な煮込み時間があり、それを超えてしまった場合、「煮込み時間が長くなれば、ソースはおいしくなるが具はおいしくなくなる」。そう考えてきた。これは今も変わらない。 今回は別の視点で、しかもとてもマニアックな視点で、同じ問題について考えたい。 今年の新刊の撮影が終わった。27種類のカレーレシピ披露することになる。もう何年も前からそうしているのだけれど、僕は著書でカレーレシピを紹介するとき、ひとつの決まりを作っている。“ひとつの遊びを忍ばせている”とも言えるし、“ひとつのハードルを設け

    106.煮込めば煮込むほどカレーはおいしくなるのか? 問題|水野仁輔
  • 100.カレーに使うスパイスの香りは最強なのか? 問題|水野仁輔|note

    カレーを嫌いな日人はいない、とよく聞く。カレーは日の国民である、とも言われている。 そう、カレーはみんなに愛されているのだ。 たしかにそういうように見えるけれども、実は一部で嫌われていることはあまり知られていない。たとえば、繊細な風味を大事にするフランス料理店では、店によっては、ランチでもまかないでもカレーは絶対にNGというところがある。コーヒーの香りにこだわる喫茶店もカレーは作らない。蕎麦屋でもカレー南蛮を敬遠する店は少なくない。要するにカレーは香りが強すぎるのだ。メニュー化したりまかないで作ったりしてしまったら、その香りに邪魔されてしまう。 「香りがいいよね」と好かれているはずの要素が、嫌われる原因になっているというのは皮肉なことだ。ともかく、そのくらい、カレーの香りは強い。カレーの香りを構成しているのは、スパイスである。もろもろのことを考慮すれば、カレーに使うスパイスブレンドは

    100.カレーに使うスパイスの香りは最強なのか? 問題|水野仁輔|note
    nobodyplace
    nobodyplace 2018/12/05
    スパイス王決定戦(本物)
  • 78. スパイスブレンドの黄金比は存在するのか? 問題 PART1|水野仁輔

    スパイスのブレンドってわかんないなぁ、と思ったことが、過去に何度かある。何度かあるとか言って、じゃあ、その何度か以外の場合はわかっているかといえば、そうでもないのだけれど。ともかく自分の中の既成概念が覆されるような体験がたまにあるのだ。振り返れば、その多くはターメリックにまつわるものかもしれない。 カレー粉作成キットなるものを使ってせっせとスパイスをブレンドしていた大学生時代に、他のどのスパイスよりもはるかに多い量を使うターメリックに疑問を持った。この鮮やかな黄色をつけるだけのスパイスがなぜこんなに大きな顔をしているんだろうか、と。あの当時、僕に「ターメリックを使わずにカレー粉をブレンドしてみよう」とするアイデアがあったら、もう少し違う世界が見えていたかもしれない。そんな挑戦をすることもなく、「これだけ入ってるのだから、ターメリックは大事なスパイスなんだな」と理解した。 日カレー粉は特

    78. スパイスブレンドの黄金比は存在するのか? 問題 PART1|水野仁輔
    nobodyplace
    nobodyplace 2018/06/05
    確かにターメリックって不思議だなあ……そんなに入れるレシピもあるのか