配偶者からの暴力(DV)やストーカー被害などに苦しむ人の「夜逃げ」を専門に手がける引っ越し屋がある。社長も元DV被害者で、約10人いるスタッフも、ほとんどがかつての依頼者だ。 社長が、やむを得ない事情での引っ越しを手伝う「夜逃げ屋TSC」を設立したのは23年前。以来、計2500件以上の案件を手がけてきた。 社長自身、元夫からの暴力に苦しんできた。日常的に暴力を受け、意識不明で救急搬送されたことも何度かある。ある日、「このままでは、いつか本当に殺される」と飼っていた犬と、車に積めるだけの荷物を入れて、夜逃げした。 夫からの暴力について相談してきた旧知の警察官から「夜逃げ屋やったら?」と言われ、引っ越し屋を始めた。 現在は1日10~20件ほど問い合わせがくる。そのうち、実際に「夜逃げ」にいたるのは年間120件ほどだ。依頼者の8割が、モラハラを始めとするDVやストーカーに悩む女性だという。 依頼