なるほど、それなら会社と社員が同じ方向を向ける。この時もまた、社員家族に手紙を送っています。(※手紙全文を本記事の末尾に掲載) 中井戸:給料を担保しているのだから、効率的に働いたら自分の健康にもプラスになる。仕事のあり方を従業員が自分で考えてくれ、という動機付けをしたのが、大きなポイントや。 残業を減らせと言われたら、給料を抑えて販管費も減らしたいからかと。俺ら、大変なんだと、好きでやっとるのと違うねんというのが、まず人間、頭に浮かぶことなんですよ。だから、そこまで触れてやらないと、本当に自分たちの健康のことも考えてくれているんだという気持ちにはならないでしょう。 そうしたら部長も、課長も、リーダーも、チームも自分で考えるよ。『今までのようなやり方でやっていたら、あるチーム員が失敗したら、全員がみんなまた元へと戻ってやり直しやと。それよりこうやった方がいい』と。こういうことを自ら考えさせる
「健康経営」という言葉すらあまり知られていない時代だったが、SCSK社内では着実に浸透し始めた。そこで、中井戸氏はいよいよ根本問題に切り込む。敵は、IT産業を蝕む「長時間残業」だ。 中井戸氏の主導の下、2011年にCSKを買収してSCSKに。そして、2012年夏、SCSKでも特に残業時間が長かった32部署に、残業時間半減の指令が下る。その他の部署も含め、全社を挙げて集中的に取り組んだことで確かに成果は上がったが、それは一時的なものにすぎなかったことが程なくわかる。業務が繁忙期を迎える年度末になると、再び残業時間は急増し、元の木阿弥になってしまったのだ。 ところが、2年目の2013年度は22時間3分、2014年度は18時間16分にまで減少。1年目にうまくいかなかったものが、2~3年目に機能した理由とは。 残業削減を掲げる企業は多いですが、なかなかうまくいかないケースが多い。 中井戸:こんなも
「この前も、ドイツから取材に来た外国人記者を乗せたよ」。道すがら、タクシーの運転手は地元自慢をするように饒舌に語った。 目的地である山口県岩国市の獺越(おそごえ)は、山陽新幹線の新岩国駅からクルマで約30分程度。途中からはひたすら山道を走る。 周辺は森林ばかりで、たまに農家らしき家がちらほら見えるくらい。本当にこんなところに会社はあるのか。そう思い始めたころ、登りだった坂道が下りになり、山間の集落が現れた。真っ先に目に飛び込んでくるのが、山奥に似つかわしくない、地上4階建ての酒蔵だ。 ふと自分の私用スマートフォンを見ると、驚くべきことに電波が入っていない。別の携帯会社の業務用スマホは、かろうじてアンテナが1本立っている状態。そんな場所にあるのが、日本酒の分類で最高ランクの純米大吟醸酒「獺祭」を醸造する旭酒造の本社と生産拠点である。
本連載は、昨年まで米ビジネススクールで助教授を務めていた筆者が、欧米を中心とした海外の経営学の知見を紹介して行きます。 さて昨今メディアを見渡すと、どこもかしこも「グローバル化」という言葉だらけです。「世界はグローバル化している」「世界は狭くなっている」とはよく言われますし、「フラットな世界」という表現も目にします。 しかし、これらは多くの場合その正確な定義や検証がないまま、印象論と言葉だけが先行している気がするのは私だけでしょうか。「グローバル」や「フラット」は、日本のビジネスパーソンへの強迫観念になっている印象すらあります。 実は、海外の経営学(そして経済学)では、「現在の世界は、我々がなんとなく思い込まされているグローバル化とはかなり違う状況になっている」という事実が、次々に示されているのです。今回は、特に3つの事実を紹介しましょう。それは、「世界はほとんどグローバル化していない」「
スティーブン・ロジャーズ Steven Rogers ハーバードビジネススクール上級講師。専門はマネジメント。MBAプログラムにて、「フィールド3」(起業実習)、エグゼクティブプログラムにて、起業ファイナンスを教える。2012年までの17年間、ノースウェスタン大学ケロッグスクール・オブ・マネジメントにて教鞭を執り、史上初めてMBAプログラムの最高の教授賞を2回受賞。大学卒業後、UNCベンチャーズ、カミンズ・エンジン、ベイン・アンド・カンパニー等を経て起業。製造業と小売業の二社を運営した。近著に“Entrepreneurial Finance, Third Edition: Finance and Business Strategies for the Serious Entrepreneur” (McGraw-Hill, 2014). シカゴ郊外の貧しいスラム街で生まれ育ったスティーブン・
ベアリング大手の日本精工が風力発電事業を拡大している。同社は風力発電単体の売上高を公表していないが、2009年3月期はおよそ200億円。毎年2ケタの割合で伸びている。 同社が製造しているのは、羽根の回転力を電力変換するための増速機向けベアリングだ。増速機は風力発電機のコスト全体の60%を占めると言われる。 直径2メートル、耐用年数は20年 そのベアリングは、大きいものだと直径が2メートルほどある。しかも、20年間の耐久性が求められることから、技術的なハードルは高い。スウェーデンSKFと独シェフラー、日本精工が市場を3分している。 同社の産業機械事業本部長である建部幸夫専務は「世界トップクラスの風力発電機メーカーのほとんどにベアリングを納めている」と胸を張る。ゴールドウィングなどの中国メーカーにも納入しているという。 ただ、ベアリング3社の中では日本精工が最後発だった。欧州中心に風力発電市場
電力システム改革による新しいビジネスモデルの登場に期待が集まっている。日本に先行して1990年代から電力システムの構造改革がスタートしている欧米では、活性化した市場を活用した新たなビジネスモデルが登場している。日本でも電気事業法の改正による電力システム改革がスタートしようとしており、それに先行した規制緩和も活用して、新ビジネスモデルに挑戦しようという機運が高まってきた。 日経BPクリーンテック研究所は、『電力・エネルギービジネス総覧』(2014年8月29日発行)で、欧米で始まった新ビジネスや国内で試験的にスタートした新ビジネスの取り組みのうち重要だと思われる50事例をピックアップした。国別に見ると、欧州11、北米17、国内22となった。欧米では28と海外事例に学ぶところは多いが、日本も22と先行した取り組みが活発になっていることが分かる。 これらの50事例の事業内容を分析すると、15のビジ
世界中で需要がある輸出品、優れたエンジニアリングの技術、製造業とものづくりにおける世界的リーダーシップ…。このように、ドイツと日本の間には共通点が多いと、よく言われています。また、一所懸命で真面目で、時間も仕事も正確で、忠実で信頼できるなど、ドイツ人と日本人の性格も似ています。こういった特徴で、ドイツ人と日本人を、米国人や他の外国人と区別することもあるくらいです。 それから、産業構造も似ています。どちらの国も機械、自動車、化学製品や電気機械の世界的リーダーとして長い歴史があります。独フォルクスワーゲンとトヨタ、独BMWとホンダ、独ティッセンクルップとJFEスチール、独BASFと三菱化学、独シーメンスと日立製作所、独ライカとニコンなど、似たような企業が活躍してします。そして、どちらの国も第二次世界大戦の終戦後、非常に強い労働スピリットを基に、経済を復興させることに成功しています。 互いに似て
「ロボットはスマホに次ぐ新たなトレンドだ」 8月中旬、ロボットベンチャーを取材するために米シリコンバレーを訪れた。現地で取材したロボットベンチャーのトップたちは皆、口を揃えてロボットを「ポスト・スマホ」に掲げる。9月15日号の特集「世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本」ではシリコンバレーでの取材ルポを掲載しているが、本誌で書ききれなかった企業も含めより詳しく現地の動きを紹介したい。 グーグルも注目、配達ロボット まずは、本誌でも登場したシリコンバレーのベンチャー企業、サビオーク。開発した配達ロボット「SaviOne」が米アップル本社近くのデザイナーズホテルで8月末から勤務中だ。 バトラー(執事)と呼ばれるこのロボットは、ホテルのネットワークとつながり、宿泊客から注文のあった品物を配達する役目を持つ。エレベーターを呼んだり、宿泊客の部屋の前に到着したら室内に電話をかけたりと、注文か
失礼な言い方をすれば、正直たかをくくっていたのかもしれない。会見場に彼女が登場したとき、とくだん期待せずにメモを取り始めた。だが意外、と感じてしまったのはこちらの勉強不足ゆえだった。現役の首相、安倍晋三の夫人、「アッキー」こと安倍昭恵のことだ。 農業女子が軽トラを変える 9月2日、東京都渋谷区にある恵比寿ガーデンホール。冷房がキンキンに効いた会場に170人のメディア関係者が集まった。スポットライトに照らされたステージに現れたのは、ダイハツ工業社長の三井正則だ。「これまで軽トラックは丈夫でたくさん積めるものが求められてきた。だがお客様が求める性能や装備は大きく変化した」。 この日の会見は、15年ぶりにフルモデルチェンジした軽トラ「ハイゼット トラック」のお披露目が目的だ。三井が新製品の特徴として挙げたのが「豊富なカラーバリエーション」や「使いやすさ」。開発に際しては女性の農家の意見を参考にし
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