今年、2020年は、ベートーヴェン生誕250年。このアニヴァーサリー・イヤーに、講談社現代新書『ピアノの名曲』(2446)の著者、イリーナ・メジューエワさんが、ピアノ・ソナタ全32曲の演奏会を開催されます。ピアノ曲の最高峰、名曲・大曲揃いの32曲をすべて弾くのは、ピアニストにとっては大変な難行。新たなチャレンジを前にお話を伺いました。 イリーナ(以下I):ベートーヴェンのピアノ・ソナタは傑作揃いですが、ばらばらではなく、「全曲」を演奏することにはやはり特別な意義があると思います。 本にも書いたとおり、全曲演奏は山登りに近いと思います。高い山、低い山、32のいろんな山がある。中にはエヴェレストのようなとんでもない高峰も聳えています。だから実際に登ってみると、下から見ていた時とは違う風景があらわれてくる。とてもチャレンジングな企画です。 2008年から2009年にかけて、初めて全曲演奏に取り組