昔であれば、たとえコミュニケーション能力に劣ったとしても、東大生が社会的に成功する道はいくつもあった。 「目の前に与えられた膨大な仕事を要領よく捌いていくという彼らの能力は、法律を運用する弁護士やキャリア官僚になるうえでうってつけでした。 弁護士になれば高額の収入が約束されるし、官僚なら国を動かしているというプライドを持てた。苦労して手にした『東大ブランド』を捧げるにふさわしい仕事だった」(人材コンサルタントの海老原嗣生氏) ところが、法科大学院が導入されて以降、弁護士は供給過多となり、所得の中央値は'06年の1200万円から、'18年には650万円まで減少。 一方のキャリア官僚は激務薄給のうえ、かつてのように国を動かす力はない。官公庁において「東大法科にあらずんば人にあらず」と言われた時代は、遠い昔。'21年度春の国家公務員「総合職」、いわゆるキャリア採用における東大出身者の割合は、たっ