ロシアによるウクライナ侵略を日本に住む私たちはどう捉えるべきか。ロシアの軍事・安全保障政策の専門家である小泉さんにインタビューしました。
安倍氏提唱の「自由で開かれたインド太平洋」構想は、米国の政策にも影響を及ぼした/Shizuo Kambayashi/AP 韓国・ソウル(CNN) アジア太平洋地域の多くの人々にとって、安倍晋三元首相は先見の明のある人物だった。台頭する中国を課題ととらえ、米国主導の政治・軍事同盟システムにもたらす影響について認識していたからだ。 今月8日、暗殺者の銃弾で殺害された安倍氏は生前、西側の同時代人の誰よりも多くのことに取り組み、その課題に対応してきたと言っていい。 首相の連続在任期間は歴代最長。多くの人々は、安倍氏の主導によりようやく日本が第2次世界大戦の影を脱することができたと記憶するだろう。 同氏は中国人民解放軍の急速な拡大を予見していた。世界最速レベルの経済成長に支えられた同軍が、地域の力の均衡を乱すだろうと見抜いていた。そして日本は、こうした変化の結果、戦後米国から与えられた平和的な憲法に
安倍元首相が暗殺された7月8日、事件は全米主要ネットワークのトップニュースで取り上げられた。バイデン政権の閣僚に加え、連邦議会議員をはじめ多数の政治家が安倍氏のリーダーシップそして日米関係強化の功績を称え、死を追悼した。特に安倍氏の長期政権に基づく安定感、そして早期から対中政策を念頭に置いて展開した経済外交については、首都ワシントンで高く評価されている。 ■「回転ドア内閣」終焉で信頼回復 小泉政権の後、日本の首相が1年前後で激しく入れ替わったことから、10年前まで、ワシントンの有識者の間で日本は「回転ドア内閣」とのイメージが固まっていた。 第2次安倍内閣発足から間もない2013年2月、ワシントンのシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)で、安倍氏は「日本は戻ってきました(Japan is Back)」と題する演説を行った。同シンクタンクの報告書「日米同盟」(2012年発行)は日本が
TOP > 記事 > 非核三原則の見直しと「核共有」は、東アジアの拡大抑止モデルとなりうるか――核をめぐる安全保障課題と日本の対応 ロシアの核恫喝を目の当たりにして、「核共有」を取り入れよとの議論が俄に脚光を浴びている。しかし、日米の拡大抑止強化で重要なのは、核兵器そのものの共有ではない。日本がNATO型核共有に踏み出せば、むしろ東アジアの「危機における安定性(crisis stability)」を著しく悪化させる危険がある。 (この記事の前編『ロシア「核恫喝からのエスカレーション」を止める唯一の方法』は、こちらのリンク先からお読みいただけます) ウクライナ危機でロシアがとったエスカレーション抑止戦略は、台湾有事や朝鮮半島有事においても当てはまる。現状変更勢力である中国・北朝鮮にとって、有事において米国の介入を阻止することは決定的に重要だ。そのため、米軍の作戦支援基盤となる日本社会をミサイ
ロシア、中国、北朝鮮は、核による脅しで概ね共通した戦略を持つと考えられる(ロシアのプーチン大統領=2月27日) (C)EPA=時事 ウクライナ危機でプーチン大統領がとった核恫喝は、「核武装した現状変更国」が状況を意図的にエスカレートさせることで相手に妥協を強いる「エスカレーション抑止(escalate to de-escalate)」戦略だと理解できる。これに緊張緩和を最優先する一見“常識的”な回避志向で臨むことは、我々が望む方法とタイミングで危機を収束させるための主導権を手放すことになりかねない。 (この記事の後編『非核三原則の見直しと「核共有」は、東アジアの拡大抑止モデルとなりうるか』は、こちらのリンク先からお読みいただけます) 2月24日、ウラジーミル・プーチン大統領はウクライナに対する事実上の宣戦布告演説の中で、ロシアは今でも世界最大の核保有国の一つであることを強調した上で、「我
ヘンリー・キッシンジャー。1923年ドイツ生まれの米国際政治学者。1938年にアメリカに亡命。ニクソン政権、フォード政権で国務長官などを務め、米中国交正常化やベトナム戦争集結に尽力し、1973年にノーベル平和賞を受賞。 Photo: Chip Somod… ニクソン政権およびフォード政権期に米国務長官などを務め、米中国交正常化やベトナム戦争の終結に尽力したヘンリー・キッシンジャー。今も論客として影響力を持つ同氏が、なぜアメリカはアフガンで充分な成果を上げられなかったのかを分析する。 【動画で見る】今後アメリカは中国とどう接するべきか語るキッシンジャー 明確な目標のなかったアフガン戦争イスラム主義組織タリバンが、アフガニスタンの政権を掌握した。懸念されるのは、20年に及ぶ犠牲を払ってきた人々や同盟国に対し、たいした通告や相談もせずにアメリカが決めた撤退を、アメリカはどう受け取ったかということ
米政権が近く、総額3兆ドル(約326兆円)の新たな経済対策を提示する見通しであることが分かった。米主要メディアが22日、一斉に報じた。電気自動車(EV)充電ステーションをはじめ、環境負荷の低いインフラの整備を進める。気候変動対策と景気刺激を両立させる。公立大学の無償化や職業訓練の拡充といった格差是正策も盛り込む方針だ。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、バイデン政権の経済政策立案チー
紛争のエスカレーション・コントロール 1月3日に行われたイランの革命防衛隊・クッズ部隊のソレイマニ司令官殺害に前後して、米・イラン間の軍事的緊張が高まった。未だワシントンでは、ソレイマニ殺害の法的根拠を含むトランプ大統領の衝動的決断の危うさや、今後の中東情勢に与える影響などが議論されている。 他方で、今回の軍事的緊張は、両国の正規軍人・民間人に多数の死傷者を出すような本格的な攻撃の応酬には発展せず、意外にもエスカレーションは抑制された。以下では、今回の米・イラン間の対立を、紛争のエスカレーション・コントロールや日本の安全保障にとっての視点から考えてみたい。 殺害されたソレイマニ司令官 この記事の画像(11枚) トランプ大統領がソレイマニ殺害という決断を選択・実行したことは、(一部の情報関係者を除けば)多くの専門家にとって予想外かつ急展開の事態であったのは事実であろう。しかし、2019年末か
使用するサービスをnoteに移行しました。noteアカウント(https://note.com/takeuchi_kazuto)をフォローして頂くようにお願い申し上げます。 2011年にアメリカで成立した予算管理法(Budget Control Act)という法律があります。この法律はオバマ政権下でアメリカの財政赤字を削減するために制定されましたが、ある条件下で強制的に予算を削減する措置が盛り込まれていたため、当初から国防予算に与える影響が指摘されていました。 今回は、どのような政治的経緯でこの法律が成立したのか、そのことによってアメリカの国防政策にどのような影響が及んだのかを考察した研究の一部を紹介したいと思います。 2011年に予算管理法が成立した経緯 2009年1月に成立したオバマ政権は、大統領選で大規模な社会保障制度改革を訴えていたのですが、この改革案は「小さな政府」を掲げる共和党
日本の慰安婦問題がまた国際的な関心を集めるようになった。韓国の文在寅大統領が公式の場で改めて提起したことなどがきっかけである。 ちょうどこの時期、米国で慰安婦問題に関して注目すべき出来事があった。司法当局から中国政府のスパイだと断じられた中国系米国人が、米国における慰安婦問題追及の枢要な役割を果たしてきたことが判明したのだ。 この人物は長年米国上院議員の補佐官を務め、現在は慰安婦問題で日本を糾弾する在米民間組織の中心的人物となっている。慰安婦問題への中国政府の陰の関与を示す動きとして注目される。 中国のスパイがベテラン女性議員の補佐官に 8月5日、連邦議会上院のダイアン・ファインスタイン議員(民主党・カリフォルニア州選出)が突然次のような声明を発表した。 「5年前、FBI(連邦捜査局)から私の補佐官の1人が中国諜報機関にひそかに情報を提供し、中国の対米秘密工作に協力していると通告を受けた。
アラブ世界を代表する選手、エジプト代表のムハンマド・サラーフ(モハメド・サラー) Lee Smith-REUTERS <断食中だったかもしれないサウジ人選手、制裁でナイキにスパイク提供できないと言われたイランチーム、2026年北米大会や2022年カタール大会に影響するアラブ情勢......ムスリムがサッカーをするのはこんなにも大変> サッカー・ワールドカップ(W杯)・ロシア大会が6月14日からはじまった。栄えある開幕戦はグループAのロシア対サウジアラビアであった。結果はロシアが5対0で大勝。実はこの日はロシアを含む世界各国でラマダーン月の終了に当たっていた。ご存知のとおり、ラマダーン中は日の出から日の入りまでムスリムは一切の飲食を断たねばならない。 試合開始時間は予定だと夕方6時だったので、試合途中から水を飲むぐらいできるようになるのかと思っていたら、試合会場のあるモスクワだと日没は何と夜
国民の意見を直接・間接的に吸い上げて政治を執り行う社会的な仕組みである民主主義。今では世界の多くの国で採用されているが、人々はこの仕組みに満足しているだろうか。米国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年10月に発表した調査報告書「Globally, Broad Support for Representative and Direct Democracy」(※)からその実情を確認する。 次に示すのは「回答者の母国において民主主義が満足できるほどに機能しているか」と尋ね、「大変満足」「満足」「不満」「大変不満」の4選択肢を提示して回答者の認識を選んでもらい、前者2つを満足派、後者2つを不満足派として計算している。 ↑ 自分の国では民主主義が満足できるほどに機能しているか(「大変満足」「満足」「不満」「大変不満」の4選択肢。「大変満足」「満足」を満足派、「不満」「大変
どの国のことだと思われますか。ヨーロッパの国、ドイツのことなんです。メディアや専門家の間では「ドイツ一人勝ち」、「一強他弱」などと評されるようになりました。中には「新たに出現してきたドイツ帝国」などと、脅威論とも言える論調も見受けられます。ヨーロッパ大陸の中央に位置し人口は8200万、経済規模は3兆4000億ドル(米ドル換算)と、いずれもEU=ヨーロッパ連合で最大。ビールやソーセージ、そして高級車などで日本人にも馴染み深い国です。そのドイツで9月24日に連邦議会選挙が行われます。まずは、なぜドイツが「一人勝ち」と言われるようになったのか、読み解いていきます。 大きな理由は、ドイツがEUの中でも群を抜く経済のパフォーマンスを示していることにあります。 まず、一国全体の“家計簿の収支”とも言える経常収支を見てみましょう。経常収支は、国民がモノやサービスを輸出したりして稼いだ額から、モノやサービ
今日の横浜北部は曇っておりまして、かなり涼しくなってます。 さて、久々にコメントを。 つい先日の話ですが、夏休みがもう終わろうという8月29日の早朝に、北朝鮮が津軽海峡上空を越えて弾道ミサイルを発射しました。 これによって全国瞬時警報システム(Jアラート)というシステムが作動し、主に東北を中心に携帯電話などから警告が鳴り響いたり、鉄道各社が運行を見合わせるなど、一時的に日本各地で混乱が発生しました。 もちろんこのニュースを聞いて 「またミサイル発射実験か」 と感じたかたもいらっしゃるとは思いますが、今回が前回までと違ったのは、北朝鮮が予告なしに実験を行い、しかもJアラートが実際に鳴らされたという点です。 とりわけこのJアラートの作動は、それを聞いたほとんどの国民に対して「警戒すべきだ」という心理的なインパクトを与えたように思えます。 幸か不幸か、私の住んでいる地域ではJアラートは発動しなか
EUを戸惑わせる投票結果 4月16日、トルコで国民投票があり、トルコの大統領権限の強化が過半数で承認された。エルドアン大統領が精魂傾けていた懸案だ。 ドイツでは、エルドアン大統領は「独裁者」ということで、蛇蝎のごとく憎まれている。最近は、ドイツ−トルコ政府間の関係もよくない。ところが今回の投票では、さしあたってエルドアン大統領の権限強化が決定したわけで、以来、ドイツメディアは上を下への大騒ぎになっている。 国民投票の翌日、ドイツの国営放送第1テレビのメインニュースでは、「皆さん、今晩は」のあと、やおら、「トルコの憲法改正をめぐる国民投票でのエルドアン大統領のギリギリの勝利のあと、国際選挙監視団は、それについて批判的な意見を発しました」と報道した。国営放送第2テレビも同様で、まさに批判一色だ。 ドイツ内相も不正の徹底追及を求めており、トランプ米大統領とプーチン露大統領が、エルドアン大統領に祝
Americans, Politics and Science Issues https://t.co/YMfrlFT9pc 2015/07のレポート。現米政権の動向起因がすごく分かるグラフ pic.twitter.com/ZF0nP9P6jY — 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2017年3月19日 ツイートでは「グラフ」としてしまったけど、よく考えてみるとこれはグラフではなく「表」だよな、ということでちょいとタイトルでは変更したけど、米国民間調査機関PewReserch社による2015年7月時点の、同国の民主党支持者(左)と共和党支持者(右)の、それぞれにおける政策や政治的思惑への浸透度や方向性。仕切り分けで分かる通り、民主党支持者は概してリベラル、共和党支持者は大よそ保守的......というか、リベラルな思考の人が民主党に集まり、共和党派保守的という感じ。思考方向性の集合
サム・アルトマンはシリコンバレーでもっとも有名なスタートアップインキュベーター「Yコンビネーター(Y Combinator)」を経営している。 Getty Images サム・アルトマンはシリコンバレーでもっとも有名なスタートアップインキュベーター「Yコンビネーター(Y Combinator)」を経営している。彼はトランプ氏に投票しなかったが、今回の件についてアメリカが何を考え、感じているかを知りたいと思い立ち、トランプ大統領支持者をインタビューしながら数カ月かけて全米各地をまわった。彼はそこでの発見を個人ブログに発表した。Business Insiderは許可を得て、それをここに転載する。(一部敬称略) 選挙のあと、僕は全米をまわってトランプ大統領に投票した人々100人にインタビューしようと決めたんだ。実際に中部を訪れて状況のどまん中に身を置いたし、オンラインでも何人もの人々と話した。
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