生活を便利にする人工知能。だがその仕組みを私たちはどこまで知っているだろうか?人工知能、特に「言葉の認識」について、その難しさを伝えようとする小説家がいる。 川添 愛(かわぞえ・あい):1973年生まれ。九州大学文学部文学科言語学専攻卒業、同大学院博士号(文学)取得。2016年まで国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授を務め、小説家として独立。『自動人形の城 人工知能の意図理解をめぐる物語』など著書多数。(写真・山本広樹) 「人工知能(AI)の基礎となる情報科学や数学は、専門家以外から見れば魔術的でミステリアスな分野です。物語を通じ、噛(か)み砕いて世に伝えていければ」と、AIをテーマに据えた小説を出版した川添愛は語る。 元々は大学で文系の言語学を学んでいた。博士課程の最中、国立情報学研究所で研究アシスタントとして働き始めたのが転機となり、理系である自然言語処理の分野に飛び込む。