タグ

ブックマーク / www.honzuki.jp (21)

  • ことなみさんの書評 終わりの感覚【本が好き!】

    高校時代「歴史とは、不完全な記憶が文書の不備と出会うところに生まれる確信である」と答えた彼。60歳を越え私は記憶を探る、確信?それがなんだったのだ。彼が死んだとき何たる無駄と切り捨てた。私と彼の生。 この物語りは、エイドリアンという優れた知性の生徒が、ロンドンの高校時代に、三人の仲間に加わったことからはじまる。 彼について先生方も興味を示し一目置いていて、彼の意見を聞くことが多かった。 国語の授業で 『「誕生と交合と死亡」―― 全てはこれに帰結するとTSエリオットはそう言っているが、誰か意見は?君から聞こうか、フィン、一言で、これは 何についての詩だろか』 「エロスとタナトスです、先生」「生と死です」 「あるいは愛と死。いずれにせよ、生の能と死の能の衝突、そしてその衝突から派生するもろもろをうたった詩です、先生」 私(アントニー)は若さと言う囲いの中にいて、まだ真の人生に開放されていな

    ことなみさんの書評 終わりの感覚【本が好き!】
    notio
    notio 2016/12/02
  • 四次元の王者さんの書評 日本より幸せな アメリカの下流老人【本が好き!】

    題名見た瞬間、読み間違えたかと思った。 「貧困大国」が僕がアメリカに対して持つイメージだった。 しかし実はアメリカでは自立意識、相互扶助精神がコミュニティの底辺を支えているのだ。 意外なことに、アメリカでは高齢者の貧困率は過去40年間で大幅に改善されている。 堤未果さんの「貧困大国アメリカ」の向こうを張ったような題名の書。 アメリカは間違い無く弱肉強社会で、中流層はかなりきつい状況にある。 貧困大国アメリカに書かれたとおり、学資ローン、医療費などの負担が大きく、中流階級の人は油断すると下流に転落する。 ところがそのアメリカでは下流の人々、特に老人に対して何重もの社会保障制度が用意されている。 日では生活保護を受給しているのに、アパートの家賃、電気代・ガス代が払えず、老人が自殺するといった事件が良く報道される。 いっぽうアメリカでは住居、光熱費といった生活インフラを、居住者の生命を脅か

    四次元の王者さんの書評 日本より幸せな アメリカの下流老人【本が好き!】
    notio
    notio 2016/10/31
  • Simon1973さんの書評 ヴァリス【本が好き!】

    <帝国>は終滅することがない。繰り返されるこのフレーズにおいて<帝国>の意味するものは何か? それは私たちの「知性」という過ちに他ならない。 書を読んでいて、以前に読んだ物理学者が書いた時間についてのを想い出した。 少し前の記憶なので正確ではないかもしれないが、「ミクロの世界に時間は存在しない」というのが主旨だったように思う。 ナノレベルの(あるいはそれ以下の)細密な世界において、起こっているのは物質の位相の変化のみであり、そこに後とか先とかいう概念の入り込む隙間はない。 時間はそれを観察する私たち人間の知覚にとって必要なだけであり、しかも時間という(来存在しないはずの)装置を経由しているだけに観察されたミクロの世界は決してありのままの姿ではない。 そしてたぶんそのことは空間についても当てはまる。 他方、カントは時間と空間の概念を人間の認識にとってア・プリオリなものとして規定した。

    Simon1973さんの書評 ヴァリス【本が好き!】
    notio
    notio 2016/09/06
  • そらはれさんの書評 囀(さえず)る魚【本が好き!】

    ”魚”が、”囀る”…え? しかもなんでだかウサギの絵…ん? でもなんか気になる…なんとなく可愛いし… そう、まさしくジャケ買い。 軽い気持ちで買って読んでしまった。 あらすじを読む限りでは、ジャンルはファンタジーなのかな、と思って読んでいた。 でもそうじゃなかった。 終盤までどこに向かっているのかわからなかった。 何が得られるのかもわからなかった。 でも読まずにはいられなくて、丁寧に丁寧に一語一語、噛みしめながら夜な夜な読んだ。 確かに、好きにはオススメかも。 想像力を掻き立てる言葉、紡がれる文章、ファンタジーな要素に史実を元にした驚愕のラスト。 この先どうなるんだろうって、あらゆる可能性を想像したは久しぶりだった。 最後まで読んだ時、叫びました。 近々、もう一度読むと思う。 最後に。 想像力って大事。

    そらはれさんの書評 囀(さえず)る魚【本が好き!】
    notio
    notio 2016/08/17
  • tomahawkさんの書評 Aではない君と【本が好き!】

    衝撃のストーリーとしか言いようがありません。 14歳の少年が友人を殺めてしまう。少年の両親は離婚して おり,母と二人で住んでいた。父とは数ヶ月に一度会う程度。 死にかけていた子を拾って面倒をみ,ずっと一緒に過ご してきた,そんな優しい少年がなぜ・・・。凶行に至ったの だろう。 突然の警察からの電話,息子が逮捕された。しかもそれは 死体遺棄容疑。父は驚愕する。どうして良いかわからない。 離婚したも同じだ。そして殺人容疑も加わることになる。 状況証拠はそろっている。そして,人も殺害を認めた。 少年を巡る審判が始まる。会社での立場も地位も何もなく なってしまう。今まで築いてきた生活の基盤は崩れる。それ でも息子を何とかしたい,そのために少年審判に強い弁護士 を頼る。少年は父にも母にも弁護士にも何も話さない。 心を開かせ,真相を突き止めることができるのか,当に 友人を殺めたのだろうか。 ペ

    tomahawkさんの書評 Aではない君と【本が好き!】
    notio
    notio 2016/06/18
  • 晴薫さんの書評 さよなら神様【本が好き!】

    「神様ゲーム」で衝撃のデビューを飾った神様探偵の鈴木太郎君が事件の犯人を次々と名指ししていく短編集です。 そんなのがオモシロイのかって? それが抜群の出来なんですよ。 私が前作、「神様ゲーム」に感心したのは、奇想天外な犯人像に着地させながら、その動機やトリックを、ほとんど無理なく説明しきった処です。 この短編集はどうなのか? 「このミス」の評価では神様ゲームは5位で、この作品は2位だったので、前作以上の出来を期待しながら読んだのですが、短編としての切れ味はイマイチ。 この作品が前作以上に評価されたのは、単に知名度の差だったのではないか。 知られてなかった頃は読者も少なく、このミス投票の麻耶雄嵩地盤が小さかった。 それからオモシロイのが知られたので、ファンの地盤が大きくなった結果、出来は前作以下でも前作分まで票を集めて高評化に繋がった。 そう思いながら読み進めたんですが、違いました。 コッチ

    晴薫さんの書評 さよなら神様【本が好き!】
    notio
    notio 2016/06/16
  • ラビーさんの書評 怪談実話 黒い百物語<怪談実話 黒い百物語>【本が好き!】

    怪談実話の名手と言われる、福澤徹三氏が収集した全100話、手にしてドキドキだったんですけど。 ごくごく普通の厚さの文庫1冊で100話ですから、当然1話1話はとても短いのです。 物語もですけど、表紙もおっかないので、 やっぱり、一夜で100話は、無理です(笑 まえがきに、「水槽の脳」っという話が出てきまして、 知らなかったので、そんな話があるのね~っと、いきなりの世界へ引っ張り込まれてしまったのでした(汗 こういうが好物なので、 読んでいると、どっかで聞いたことあるな~とか、 思うこともあるのですが、 似てるけどやっぱりなんだか違うんだよな~っと、落ち着くことがほとんどなのも、 おっかない出来事が、あっちこっちで起こってるんだなぁっと言うことになるわけで、 そうなると、他人事の怖い話を楽しむっていうのも、自分が絶対に安全圏にいるとは言えない・・・ ぎゃーーーっ 今夜はここまでで寝ようっ

    ラビーさんの書評 怪談実話 黒い百物語<怪談実話 黒い百物語>【本が好き!】
    notio
    notio 2016/06/06
  • sawady51さんの書評 男性漂流 男たちは何におびえているか【本が好き!】

    「男性漂流 男たちは何におびえているのか」を読んでプレッシャーを感じているのは自分だけではないと勇気が出た。 男性ばかりを取材対象として追ったジャーナリストからみる漂流状態の男性たち。彼らを追うことで見えてくる男性が抱える特有の問題や生き辛さをルポルタージュとしてまとめた書籍。 結婚がこわい 男性の5人に1人は生涯未婚と言われて久しい。「一生結婚できない男」のレッテルを貼り付け、焦燥感や不安を一層煽る。近頃では自治体をはじめ、NPO法人や商工会議所、民間事業者等が婚活イベントを取り仕切ったりと枚挙にいとまがない。そんななか婚活からも弾かれる低所得者(イベントに参加しても相手にすらされない)が多いのも事実だ。 「非正規雇用の男性なんて、女性は全く眼中にないですよ。たまに大学時代の友人から合コンの誘いがありますけど、派遣なんてみっともない姿を見せたくないから無視しています」 「『婚活』ブームも

    sawady51さんの書評 男性漂流 男たちは何におびえているか【本が好き!】
    notio
    notio 2016/06/06
  • allblue300さんの書評 1491―先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見【本が好き!】

    1492年、クリストファー・コロンブスは大西洋を渡りアメリカ大陸に到着しました。書の内容は「1491」というタイトルに表されています。コロンブスがやって来る前のアメリカ大陸はどのような姿だったのか。 1492年以前のアメリカ大陸の姿を明らかにする作業、世界史に残る最も大きな空白を埋める作業に、ようやく研究者たちが乗り出した。そこは驚くほど様々な顔を持つ豊かな大陸だった。たくさんの言語が話され、交易が活発に行われ、多様な文化が存在していた。 そう、コロンブスが来航するまでは。1492後に、この豊かな大陸は疫病と征服によってあえなく消え去った。その破壊ぶりがあまりに徹底していたので、征服した側もされた側も、そのような世界が存在していたことを忘れてしまった。なんとも恐ろしいことです。 多くの先住民の命が奪われたことに対して、時には「ホロコースト」という含みのある言葉を使う歴史家もいれば、時には

    allblue300さんの書評 1491―先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見【本が好き!】
    notio
    notio 2016/05/17
  • sashaさんの書評 典獄と934人のメロス【本が好き!】

    「関東大震災と第二次世界大戦中の記録すべてがなくなっている。 戦争関係のものは、省の行刑局長ら高官が戦犯としてGHQから 逮捕されるのを免れるために、全刑務所に焼却等の処分を命じて 証拠を隠滅したものだ。戦争の記録がないのはわかるが、関東大 震災当時の記録がないのは合点がいかない。一人職員を紹介す るから話を聞いてみるか」 昭和46年、当時の横浜刑務所長の言葉がきっかけとなって、刑務官 でもあった著者は横浜拘置支所の女性刑務官に会い、彼女の母の 体験を聞いたことから驚愕の事実を知ることになる。 関東大震災はその名の通り、関東一円に大きな被害をもたらした。 震源に近い横浜市も例に漏れない。その横浜にあった横浜刑務所 では外塀は全壊、獄舎・工場の損壊も甚だしい。 加えて地震の影響で発生した火災が横浜刑務所にも迫る。典獄 (刑務所長)・椎名通蔵は決断を迫られる。このまま受刑者たちを 敷地内に留

    sashaさんの書評 典獄と934人のメロス【本が好き!】
    notio
    notio 2016/05/02
  • くにたちきちさんの書評 医療政策を問いなおす: 国民皆保険の将来【本が好き!】

    元厚生官僚にして、大学教授である筆者が、わが国の医療政策のあるべき方向性と道筋を明快に展望しようと試みたです。 筆者は、厚生官僚として、保険局保険課長、国立社会保障・人口問題研究所副所長などを歴任、その前後に千葉大学法経学部助教授、その後、東京大学大学院法学政治学研究科附属比較法政国際センター客員教授を経て、現在は政策研究大学院大学教授・医療政策コースディレクターを務めています。いわば、理論と実務に通暁しているマルチ研究者の一人といえると思います。 現在の医療制度改革が急ピッチで進められており、多くの人がその全体像を十分理解できていないと思われ、遡って、日の国民皆保険の特性や人口構造の変容から説き起こし、医療制度改革の内容や相互関連について〝絵解き”をすることを目的として、このの執筆を引き受けたと、あとがきで述べています。 書の内容は、次の通りです。 はしがき 序 章 問題の所在

    くにたちきちさんの書評 医療政策を問いなおす: 国民皆保険の将来【本が好き!】
    notio
    notio 2016/04/18
  • 有坂汀さんの書評 藤森照信×山口 晃 探検! 東京国立博物館【本が好き!】

    「トーハク」こと東京国立博物館。日最古の博物館として質、量ともに日一の舞台に降り立ったのは路上観察眼をもつ建築家・藤森照信氏と平成の絵師・山口晃氏。この二人を案内役に余すところなく魅力を語ります。 自分の中に美術的な要素が不足していたと実感しておりましたので、久々にアートなに触れたいと思い、書を読んでおりました。書の舞台は「トーハク」こと東京国立博物館。そこは日最古の博物館として質、量ともに最高峰を誇る舞台へと降り立ったのは二人の案内役。一人は「路上観察眼」をもつ建築家・藤森照信氏と、もう一人は「平成の絵師」の異名を持ち、繊細な絵柄と遊び心に溢れた絵を数多く発表する山口晃氏です。 書の構成は三部に分かれており、それぞれ「美術編」「建築編」「舞台裏編」とそれぞれの観点から余すところなく「トーハク」の魅力を徹底解剖されており、藤森先生の文章と山口氏のイラストやマンガ、二人の対談に

    有坂汀さんの書評 藤森照信×山口 晃 探検! 東京国立博物館【本が好き!】
    notio
    notio 2016/03/30
  • 量子的跳躍者さんの書評 日本の図像―神獣霊獣【本が好き!】

    notio
    notio 2016/03/15
  • ぷるーとさんの書評 火打箱【本が好き!】

    サリー・ガードナーの『火打箱』は、アンデルセンの童話をインスパイアしたダークファンタジーだ。 戦場で死神の姿を見た兵士オットー・フントビスは、獣の皮をまとった不思議な男の予言に導かれて、奇妙な旅に出る。 死体に溢れている不気味な魔法の城。 その城に住む、おどろおどろしい魔女たち。 そして、城の奥深くに埋もれている火打箱。 森で出会った美しい男装の姫サファイアーに恋をし、突如いなくなった姫を探し求めて旅を続けるオットー。 オットーがようやく探し当てたサファイアーの住む城の周辺では、人狼が出て住民たちをい殺す。 オットーの姓がフントビス(=犬を噛む)であること、姫の名前がサファイアではなく炎という意味を取り込んだサファイアーであることなど、主人公二人の名前は、そのものが物語の象徴であり、伏線でもある。 そして、最後の最後になって、サファイアーという姫の名前が持つ皮肉が、ズンと胸にのしかかって

    ぷるーとさんの書評 火打箱【本が好き!】
    notio
    notio 2016/03/07
  • 星落秋風五丈原さんの書評 ヒューマン・ステイン【本が好き!】

    ひたすら浄化に突き進む1980年代のアメリカで 人間の穢れ(The Human Stain=原題)を持つ四人はどう生きたのか ユダヤ系アメリカ人コールマン・シルクは古典学の教授だったが、授業に出席しない二人の学生を「幽霊(spook)」と言ったことから人種差別主義者として非難され退職する。作家であり彼の友人のネイサン・ザッカーマンは、の死に怒るコールマンから糾弾を書いてくれと頼まれて、この問題に関わることになる。しかしある日コールマンは、若い恋人が出来たと打ち明ける。 初老の男性と年の離れた女性の恋愛というモチーフはロスの『ダイング・アニマル』(『エレジー』として映画化)と共通している。『ダイング・アニマル』においても若いコンスエラの方が教養高き大学教授のケペシュよりも遥かに大人であったが、作においても学のないフォーニアの方が、迷いあるコールマンよりも全てにおいて吹っ切れている。 人

    星落秋風五丈原さんの書評 ヒューマン・ステイン【本が好き!】
    notio
    notio 2016/03/07
  • 小太郎さんの書評 神話の力【本が好き!】

    これは途中まで読んで積読に紛れていました、ここの書評で取り上げられていて、思い出し先日発見!何年振りかに読み終ることが出来ました。 神話と言うとんでもない物を、どう料理するのか興味がありました。昔フレーザーの「金枝篇」(勿論、岩波の簡約)はなんとか読んだのですが、あまりに広大な分野に目が眩むような気がしました。 フレーザーは文献調査がメインで、フィールドワークをほとんどしなかった為に「書斎の学問」とされたり、文明社会と未開社会にたいするある意味での偏見(この当時としては致し方ない部分はあります)があったりと、色々言われていますが、これほど膨大な事例、資料を収集し編纂して世に送り出したのは、人類学ばかりじゃなくて後の文学や人文学に大きな意味があったと思います。 さてこのですが、ジョーセフ・キャンベル(比較神話学者)とビル・モイヤーズ(ジャーナリスト)の対談集になっています。 一章 神話

    小太郎さんの書評 神話の力【本が好き!】
    notio
    notio 2015/12/05
    そう言えば私も購入してまだ読んでない。
  • おおきに!さんの書評 獣の記憶 (創元推理文庫)【本が好き!】

    18世紀のフランスで実際に起きた事件。オオカミに似ているとされる生物が1764年から1767年にかけ60人から100人の人間を襲った事件。その獣が何であったかは特定されず、現在も議論されている。 その事件を元に、当時の実在の登場人物を配置し、さらに大胆な仮説の上に構築されたミステリ小説。 当時の、パリ社交界の様子、そして内幕、そこに巻き込まれる主人公。 さらに、地方を支配する貴族、農民、そして虐げられた人々。それらの登場人物が、18世紀のフランスの雰囲気のなか、生々しく生きているなかで、事件が起きる。 そして、読者は、その事件を被害者として体験する、そして、その生臭い息を嗅ぎ、自らの未来が経たれる恐怖と向き合う。 その事件に立ち向かうのは、若き博物学者。 彼は、多くの証拠、目撃談などから詳細なスケッチを行い、推理を深めていく。 地方を収める貴族とその乱暴な跡継ぎ、貴族の使用人たちの噂、村の

    おおきに!さんの書評 獣の記憶 (創元推理文庫)【本が好き!】
    notio
    notio 2015/11/25
  • 小太郎さんの書評 悲しみのイレーヌ【本が好き!】

    「その女アレックス」を読んだときは、ミステリならちょっとのことでは驚かないぞ!と思っていた、その上を行く展開と内容に完全にやられてしまいました。多少の瑕疵はあるとはいえ、ああいうが読めるのは、正しく読書当の楽しみでした。 さてアレックスのユニークなカミーユ・ヴァルヴァーン警部のデビュー作がこの作品。 おぞましい手口で惨殺された二人の売春婦、その事件を受け持ったのがカミーユ。調べて行くうちに第二の殺人事件が起きます。懸命な捜査で事件の共通点が浮き彫りになっていいくのですが・・・・ 「悲しみのイレーヌ」という題名と前作「その女・・」を読んでいるので、この話ある程度の展開は想像出来るんですが、それにしては何か違和感があるな~と思いながら読んでいると・・・ いや~これはアレックスとは、まったく別の意味でやられちゃいました(笑) これ以上書いちゃうとネタバレになるんですが、460ページの二部構

    小太郎さんの書評 悲しみのイレーヌ【本が好き!】
    notio
    notio 2015/11/25
  • るびりんぐさんの書評 ティッピ野生のことば【本が好き!】

    アフリカの動物たちと話すことができたナミビア生まれのフランス人少女は、自分を先住民の一員であると考え、人生は冒険さえあれば退屈しないと語る。 ナミビアで生まれ育ち、動物や先住民たちに囲まれて暮らしていた、11歳の少女の言葉と父親の撮影した写真を収めた小さなです。両親によって書かれたノンフィクション『野生のティッピ―動物と話す少女』の続編にあたります。少女はこのの時点ではパリで暮らしています。この以降の情報は少ないですが、ソルボンヌヌーベル大学で映画を専攻し、ディスカバリーチャンネルのために6のドキュメンタリーを撮影したようです。 書に掲載されている写真はネットを検索すると多くを閲覧できます。 書の初めのほうに、アフリカゾウに乗った写真や、ヒョウとじゃれ合う写真などが掲載されていますが、これらは野生のゾウやヒョウではありません。むしろ、野生のゾウやヒョウは危険であること、このヒョ

    るびりんぐさんの書評 ティッピ野生のことば【本が好き!】
    notio
    notio 2015/11/23
  • トムタンさんの書評 べつの言葉で【本が好き!】

    私は私の言葉にだけ属している…。著者のこの言葉に衝撃を受けた。祖国とは、母語とは何か。文化と言葉とは。移民として生きる人々、その二世について、考えさせられた。 ロンドンで生まれ、幼少期に渡米したラヒリは、両親がカルカッタ出身のベンガル人である。家庭ではベンガル語、一歩外に出れば完璧な英語を使って育って来た。しかし、周囲のアメリカ人は、その容姿から彼女を英語圏から遠い存在とみなす。「あなた、英語話せるの⁉︎」と言った具合に。インドの文化と両親に密接なベンガル語を会話程度しか身につけられず、読書と処世術のために習得した完璧な英語。 「わたしはわたしの言葉だけに属している。わたしには祖国も特定の文化もない。」と言うラヒリの言葉に、衝撃を受けた。何という聡明さ。何という芯の強さ。感受性の鋭さ。そして母国と母語を持たない者の孤独と不完全感。その不完全感を埋める様に書き続けている、と言うラヒリ。 著名

    トムタンさんの書評 べつの言葉で【本が好き!】
    notio
    notio 2015/11/23