高校時代「歴史とは、不完全な記憶が文書の不備と出会うところに生まれる確信である」と答えた彼。60歳を越え私は記憶を探る、確信?それがなんだったのだ。彼が死んだとき何たる無駄と切り捨てた。私と彼の生。 この物語りは、エイドリアンという優れた知性の生徒が、ロンドンの高校時代に、三人の仲間に加わったことからはじまる。 彼について先生方も興味を示し一目置いていて、彼の意見を聞くことが多かった。 国語の授業で 『「誕生と交合と死亡」―― 全てはこれに帰結するとTSエリオットはそう言っているが、誰か意見は?君から聞こうか、フィン、一言で、これは 何についての詩だろか』 「エロスとタナトスです、先生」「生と死です」 「あるいは愛と死。いずれにせよ、生の本能と死の本能の衝突、そしてその衝突から派生するもろもろをうたった詩です、先生」 私(アントニー)は若さと言う囲いの中にいて、まだ真の人生に開放されていな
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