2012年を振り返ったときに、「ハウス・ミュージックへの回帰」というのがひとつあると思った。メインストリームではザ・XXの『コエグジスト』がそうだったし、大物プロデューサーとなったフィリップ・ズダールの手がけたカインドネスにもそのセンスはうかがえる。アンダーグラウンドではジョイ・オービソンとボディカが新世代の感覚でハウスの再解釈を試みている。もうすぐ〈ニンジャ・チューン〉からリリースされるフォルティDLの3枚目のアルバムにも、UKガラージを通過したハウス感覚が良く出ている。また、LAの〈ノット・ノット・ファン〉周辺は相変わらず90年代のハウスにハマっているようだし......。 UKガラージがハウスへと回帰することに僕は最初は複雑な気持ちを抱いていたが、考えてみれば好ましく思えるフシもある。ハウス・ミュージックは周知のようにゲイ文化から生まれていることもあって、色気、エロティシズム、女性的