日本の厳しい現状を実感させられる資料が公表されました。 令和4年第2回経済財政諮問会議で発表された内閣府の資料は、35歳から54歳の働き盛り世帯の所得が大幅に減少していることが如実に示されています。 今回は、この経済財政諮問会議の資料を用いて日本の問題を皆さんと確認していきたいと思います。 日本全体の世帯所得分布の推移 世代別世帯所得分布 就職氷河期世代の動向 所得の分断化傾向 所見 日本全体の世帯所得分布の推移 経済財政諮問会議で公表された資料のうち、まずはこのグラフをご覧下さい。 (出所 令和4年第2回経済財政諮問会議「我が国の所得・就業構造について」) これが日本の全世帯の所得分布の長期推移です。1994年から25年経ち、日本の全世帯の所得分布(再分配前)は中央値が550万円から372万円まで178万円低下しました。率にすると▲32%です。 再分配後(主に年金や児童手当等の社会福祉給
金融庁は「顧客本位の業務運営」を銀行を含む金融事業者に求めています。この顧客本位の業務運営というのは難しい言葉ではありますが、要は「金融事業者の利益ばかりを優先せずに、お客様の利益を考えて商品を販売するということ」です。 今般、3メガバンクがこの顧客本位の業務運営について2021年3月期の取組状況を発表しました。 今回は3メガバンクの公表資料から各行の投資信託の販売スタンスについて考察していき、日本の銀行から投資信託を購入することの是非について簡単に考察したいと思います。 投資信託の平均保有期間 グループ会社商品の販売比率 コスト比較 運用損益の動向 所見 投資信託の平均保有期間 近時まで、金融事業者は自らの利益のために、投資信託で含み益が発生したりすると、お客様に投資信託の回転売買を促していたとされています。これは、投資信託を販売すると販売手数料を得られるためです。 投資信託の回転売買は
金融庁が「資産運用業高度化プログレスレポート2021」を公表しました。 金融庁は「家計の安定的な資産形成」を行政方針の柱に一つに掲げており、資産運用会社の役割を重視する一方で、資産運用会社の報酬体系や運用能力、販売方法等に課題意識を持っています。 今回は金融庁のレポートを基に、日本の金融機関が販売する運用商品について確認していきたいと思います。 資産運用会社別パフォーマンス 独立系資産運用会社 投資信託のコストにおける他国比較 クローゼット・トラッカー問題 まとめ 資産運用会社別パフォーマンス まず、以下の図表を確認ください。 (出所 金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート2021」) この図表は、運用資産が多い資産運用会社順に、その資産運用会社が運用するアクティブ型投資信託のシャープレシオを並べたものです。 「アクティブ型の投資信託」とは、それぞれの投資信託の運用方針に沿い、市場の平
日本人は「貯蓄好き」というのが一般的なイメージなのではないでしょうか。 日本人は将来不安の影響で、消費をせずに貯蓄しているから景気が思わしくない、というような言説を聞いたこともあるでしょう。 今回は、日本人の貯蓄率について、少し焦点を当ててみたいと思います。 貯蓄残高の長期推移 貯蓄率の推移 各国との貯蓄率比較 所見 貯蓄残高の長期推移 まずは日本人の貯蓄残高についての長期推移を確認してみましょう。 以下は二人以上の世帯についての「貯蓄高の長期推移」です。 <貯蓄現在高及び年間収入の推移(二人以上の世帯)> (出所 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)) 二人以上の世帯について1世帯当たり貯蓄現在高の最近の推移をみると、2019年=1755万円の水準は約半世紀前の1959年=30万円の58.5倍となっています。また、貯蓄年収比(貯蓄現在高の年間収
政府が会社員への給与のデジタル払いを本年春から認める方針を示したと一部で報道されています。 この「給与のデジタル払い」、すなわちPayPay等の「資金移動業者」を通じて給与を支払う仕組みは、導入されると、給与を受け取る個人にとってメリットとなる可能性があります。資金移動業者を給与受取先に指定すると、ポイントが獲得できるというようなことが想定されます。 この給与のデジタル払いが普及すると、銀行、特に地方銀行(地銀)には大きな影響を与えることが想定されます。今回は、給与のデジタル払いが地銀に与える影響について簡単に考察してみたいと思います。 給与のデジタル払いがもたらすメリット 給与の支払方法 給与の銀行振込が銀行にもたらしたメリット 給与振込と地銀 今後の動向 給与のデジタル払いがもたらすメリット 給与のデジタル払いがどのようなものか、誰にメリットがあるのかについては、以下の記事をご参照くだ
年末といえば宝くじです。 毎年、銀座の有名宝くじ売り場である「西銀座チャンスセンター」に並ぶ購入者の映像がテレビで流れるのは風物詩の一つでしょう。 今年の年末ジャンボは1等賞金7億円、前後賞(1億5,000万円)合わせて10億円と非常に夢のある賞金額となっています。 今回はこの宝くじについて、分かっているけど他人に指摘されたくないことを、あえて少し考えてみたいと思います。 宝くじの当選確率 1等の当選確率のレベル 宝くじの売上金の使い道 「宝くじを買う」ということの意味 宝くじの当選確率 まずは基本を確認しましょう。 2020年の年末ジャンボ宝くじの当選金と当選本数は以下の通りとなっています。 1等 (7億円) 22本 1等の前後賞 (1億5,000万円)44本 1等の組違い賞 (10万円) 4,378本 2等 (1,000万円) 88本 3等 (100万円) 880本 4等 (5万円)
NHKのニュースで取り上げられた20歳代の女性の毎月の食費について、ネット上で議論が巻き起こっているようです。 NHKニュースで報道された25歳の女性の家計簿は、月の食費を「5万円」としていましたが、これに対し「高すぎる」「全然高くない」と様々な意見が飛び交っているようです。 今回は、「食費月額5万円」について、少し考察してみましょう。 NHKニュースの内容 平均的な食費とは コロナによる影響 2019年7~9月の家計調査比較 所見 NHKニュースの内容 NHKニュースの内容はボーナスカットがテーマだったようです。 600万円の奨学金を毎月3万円返済している25歳の都内会社員の女性が、コロナの影響でボーナスカットをくらい、不安を訴えているという内容のニュースですが、そこで映し出された当人の毎月の収入と支出が議論の発端です。 当人の毎月の収入と支出は以下の通りのようでした(筆者がTwitte
老後2,000万円問題に代表されるように、高齢者が生活していくことについて話題となっています。また、格差について関心が高まっているのも間違いありません。 2019年初には「年収で890万円〜920万円ないと社会のお荷物という説がある」と解説したタレント・予備校講師のテレビでの発言が炎上したと話題になりました。 今回は改めて、社会のお荷物とされる年収について確認していきたいと思います。 年収890万円の社会のお荷物説について 実際の調査 所見 年収890万円の社会のお荷物説について 世帯総収入が890万円を下回るような世帯については、税金や社会保険料の支払いよりも実質的な受給(受益)が多いという説がまことしやかに流布しています。 元々は、以下の記事がそのネタ元のようです。 世帯の総収入が890万~920万円を超えるまでは『受益超過』となります。所得がそれ以下の世帯はいわば『社会のお荷物』です
2,000万円問題が話題になる等、老後の生活に対しての関心が増加してきているものと思います。 老後資金を準備するにあたり重要な要素として、企業が用意する退職金があります。これは、公的年金である厚生年金(会社員等が加入)とは別個に企業が支給するものです。 現役時代には、子育て、持家購入等で簡単には貯蓄も出来ません。それを補うのが賃金の後払いの性格を持つ退職金(一時金・年金)です。 今回は、この退職金の状況について確認しましょう。簡単には見過ごせないことが分かるでしょう。 退職金の状況 所見 退職金の状況 以下は、厚生労働省が実施している就労条件総合調査の結果について、時系列にまとめたものです。数値は、定年退職者のうち大卒・大学院卒、管理・事務・技術職の平均退職給付額(退職一時金と退職年金の合計)となります。 まずはこちらをご確認ください。 2018年調査=退職金制度がある企業80.5%、一人
こんにちはユレオです。 私は2017年よりブログ運営を始め、Googleアドセンスや各ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)のアフィリエイト広告をブログに掲載することで、ブログ運営で少額ながら収入を得てきました。 「収入」と聞くとブログ運営は副業になるように聞こえるかもしれませんが、私の場合はサラリーマンの小遣い程度の収入を得る程度で、副業と呼べるようなものではありません。 しかしながら、読みたいと思った本を気にせず買える程度の収入はあり、増税が続くこのご時世としては大変ありがたく思っています。 さて、このようなブログで収入を得た場合、サラリーマンが会社からの給料以外で収入を得ているので、確定申告をして自分自身で税金を納める必要があります。 本日は私がブログ運営で得た収入分の税金を納めるために確定申告をしてきたお話しをしたいと思います。 ※これからアフィリエイト始めたい方は無料登録
老後2,000万円問題、公的年金制度への不信、大企業の早期退職者募集、経団連による日本型雇用の否定等、中長期での生活安定が不安視されているのが、今の日本でしょう。 この不安から脱却するために、もしくは、より良い生活を求めて、宝くじで人生を逆転させたくなることは無いでしょうか。 今回は、根強い人気の宝くじについて考察します。 宝くじはギャンブルなのか? 宝くじとは 所見 宝くじはギャンブルなのか? 本題に入る前に、少し考えてみたいことがあります。 それは、宝くじはギャンブルなのか、という点です。まず、ギャンブルの定義を確認しましょう。 <ギャンブル> 文化・法律で「ギャンブル」の言葉が持つ意味が異なるため、現在は、「物やお金など価値あるものを賭ける行為」またはそのような行為を商業化したものは「ギャンブリング」または「ゲーミング」と総称されている。「ギャンブル」は日本語のカタカナ俗語であり、諸
新築マンションの価格上昇が話題となっています。 2019年の新築マンションの平均価格は、首都圏で5,980万円、東京都区部が7,286万円(不動産経済研究所調べ)となっており、バルブ最盛期以来の高水準です。 こんなにも新築マンション価格が上昇していることは「不動産バブル」なのでしょうか。 我々個人の所得(特に手取り)が増えない中、マンション価格の上昇はいつまでも続くのでしょうか。それとも、今がピークでマンション価格は今後下がるのでしょうか。 今回は不動産マンション価格について考察します。 新聞記事 新築マンション価格の年収倍率 金利と不動産の関係 現在のマンション価格は適正なのか 今後の新築マンション価格動向 新聞記事 まずは、現在の新築マンションの平均価格について概要を確認しましょう。以下、日経新聞の記事を引用します。 新築マンション29年ぶり高値 19年の首都圏5980万円 2020年
株式会社Origami(本社:東京都港区、代表取締役社長:康井義貴、以下 Origami)および株式会社メルペイ(本社:東京都港区、代表取締役CEO:青柳直樹、以下 メルペイ)は、メルペイによるOrigami全株式の取得によって、同社がメルカリグループに参画することについて両社間で基本合意いたしましたので、以下のとおりお知らせいたします。 ※:なお、本株式譲渡は、2020年2月25日を予定しております。 ■Origami・メルペイについて Origamiは「お金、決済、商いの未来を創造する」とのミッションのもと、2012年に会社を設立し、2016年にスマホ決済サービス「Origami Pay」の提供を開始、同サービスは、全国の様々な業種、業態の店舗やサービスに導入を拡大すると共に、利便性にとどまらない、決済を通じた加盟店と消費者との顧客接点という新たな価値を提供してまいりました。また、20
民法の改正を受け2020年4月から様々な変化がありますが、銀行のアパートローンについても取り扱いが変わると報道されています。銀行のアパートローンは個人の連帯保証人を求められることが現時点では一般的ですが、今後は保証人を原則不要とする動きとなってきました。 これは一見すると「非常に良い動き」に思えます。家族や親族の借入にかかる連帯保証人となって大変な目にあったという実話を雑誌やテレビで見聞きすることはあるでしょうし、ドラマや小説の題材になることもあります。そのような「ひどい制度」である連帯保証が無くなるならば苦しむ人が減って良いのではないでしょうか。 一方で、銀行がアパートローンの保証人を原則不要とすることに何か問題はないのでしょうか。なぜ銀行はアパートローンで保証人を必要としてきたのでしょうか。 今回は、アパートローンの保証人を原則不要とすることについて考察したいと思います。 報道内容 銀
日本国内では消費の盛り上がりに欠けている状況が続いています。 2019年は『上級国民』という言葉が使われる等、格差を国民が感じていることが更に明らかになったように感じます。 少子化の背景には、非婚化・晩婚化、雇用が不安定な男性の増加、キャリアへの考え方の変化等があると説明されることが多いですが、本質的な要因は経済的な余裕の無さではないでしょうか。 日本は先進国どころか貧乏になり始めているからこそ、物価が安い日本に外国人旅行者が大挙してやってくるのではないでしょうか。 では、賃金が大幅に減少したから我々の生活は苦しくなったのでしょうか。それとも消費増税が影響しているのでしょうか。生活必需品の価格が増加したからでしょうか。 今回は、なぜ我々の生活が苦しくなってきているのかについて、一つの要因に焦点を当ててみたいと思います。 賃金、物価、税金 社会保険料の増加という要因 所見 賃金、物価、税金
競争が激しくなっているキャッシュレス決済の分野にメガバンクが参入します。三菱UFJ銀行は、グルメや旅行などの情報サイトを運営するリクルートと連携して、飲食店やホテルなどでスマホを使った決済サービスを始める方針を固めました。 新会社は、利用者が銀行口座からスマートフォンのアプリにお金をチャージすれば、QRコードを使って支払いができるサービスを展開する方針です。 利用者が多い「ホットペッパー」や「じゃらん」など、情報サイトに登録している飲食店やホテル・旅館にまずはサービスの導入を働きかけ、一気に普及させたい考えです。 キャッシュレス決済は、政府が実施しているポイント還元制度もあって利用が一段と広がっていますが、参入企業が多く、競争が激しくなっています。 今回参入する三菱UFJは後発になりますが、知名度の高い情報サイトのネットワークを使うことで、巻き返しを図る狙いがあります。 一方、支払い履歴な
どうも千日です。定年までの10年間に今からやっておくべきTODOリストです。 50代から住宅ローンをスタートして70代での完済を目指す人、30代40代で住宅ローンをスタートしたもののアクシデントや浪費などが原因で予定どおりに繰り上げ返済できずに50代を迎えてしまった人向けに作りました。 やること 期限 解説 ① 定年時のローン残高を確認する 今スグ まだ定年時のローン残高を確認していない人は、すぐにシミュレーションで確認してください。 ② 退職金の支給額を確認する 今スグ ウワサで何となく…ではなくちゃんと把握してください。会社の総務人事へ退職金制度、計算方法を確認して試算します。 ③ 年金受取額を確認する 今~定年まで 50歳以降に届く「ねんきん定期便」では、60歳まで同じ条件で働き続けた場合の年金支給額がわかります。 ④ 借り換えメリットがあるか確認する 定年まで 諸費用を含めて借り換
「貧乏人ほどスタバでコーヒー買うか、タピオカのドリンクを飲む」傾向にあると聞いたら、どのように感じるでしょうか。 知人の経営者から筆者がこの話を聞いた時には、最初はバカにされているような気分になったものですが、後から妙に納得したものでした。 なぜ、スターバックス(スタバ)はあれほどの好立地での店舗展開が出来るのでしょうか。なぜ、タピオカ入りのドリンクを売っているお店が爆発的に増えたのでしょうか。 今回は、タピオカやスタバの利益率と「貧乏人ほどタピオカやスタバを好む理由」について考えてみましょう。 タピオカの動向 スタバの利益 まとめ タピオカの動向 タピオカを用いたドリンクではタピオカミルクティーが爆発的にヒットしています。タピオカ専門店の開業が相次いでおり、その増加スピードは驚くほどです。 “業務用タピオカ”売上が14倍に 2019/06/15 00:14 Written by Nari
日本の投資家が購入している投資信託が、運用歴の長い商品にシフトしてきていると報道されています。 金融業界の販売姿勢が変わってきたことが主因と思われますが、金融業界自らが変わったというよりは、金融庁の指摘・圧力によって変わりつつあるという方が正しいと言えるでしょう。 今回は、日本の金融機関の中でもメガバンクの運用商品販売の現状について確認してみましょう。 報道内容 各メガバンクの指標比較 所見 報道内容 日本の投資信託の主役が長期的に実績のある投資信託となってきたと報道されています。以下、日経新聞の記事を引用します。 日本の投信、長期にシフト 人生100年時代の支え 2019/07/27 日経新聞 日本の投資信託の主役が運用歴の長い商品に移ってきた。2018年度は運用期間10年以上の投信が、16年ぶりに資金流入に転じた。流入額は過去最大となった。金融業界が、新しい投信への頻繁な乗り換えを勧め
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