11月8 丹治信春『実践! クリティカル・シンキング』(ちくま新書) 8点 カテゴリ:思想・心理8点 著者は『言語と認識のダイナミズム』や『クワイン』などの著作で知られる分析哲学者ですが、本書はそんな著者が大学1年生向けに行っていた「クリティカル・シンキング」の授業をもとにしたものになります。 基本的には、推論を構造化しながら読み解いていくというもので、本書をよめば、その推論が正しいのかどうかがわかってくるような構成になっています。 分析哲学者の手によるものということで、かなり論理学よりのものを想像する人もいるかも知れませんが、例えば、似た感じの本である野矢茂樹『論理トレーニング』と比べても、バリバリの論理学的な説明は抑えられていると思います。 代わりに本書が重視しているのが日常の言語の分析で、比較的自然な日常言語の中で行われる推論について、その隠された前提や、言葉のイメージなどから犯して