今年一月の半ば、オックスフォード大学の哲学者ニック・ボストロムが、過去に書いた差別的なメールについて突然謝罪を発表するという騒動があった。ボストロムは、人間原理や人類の存亡リスクなどに関する研究で有名な人物で、このブログでも何度か取り上げたことがあったので、この騒動には注目していた。騒動から一ヶ月程度経った時点で、とりあえず報道や記事も一通り出て、その後もすぐには大きな動きも出そうもないので、今更ながら目に止まったことをメモとしてまとめてみたい。 ボストロムは、著書の一つ『スーパーインテリジェンス』は日本語にも翻訳されている。また、日本語の著作では三浦俊彦『多宇宙と輪廻転生』や稲葉振一郎『宇宙倫理学入門』ではボストロムの言説が紙幅をさいて論じられていた。 今回のボストロムの差別メール謝罪騒動に関しては、以下の記事が経緯からボストロムが代表的な論客の一人と目されている「効果的利他主義 Eff
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