Profile─石津 智大 2009年,慶應義塾大学大学院社会学研究科心理学専攻後期博士課程修了。博士(心理学)。ロンドン大学ユニバーシティカレッジリサーチフェロー,日本学術振興会特別研究員(早稲田大学),日本学術振興会海外特別研究員(ウィーン大学)を経て,2018年より現職。専門は認知神経科学。論文は「神経美学の功績:神経美学はニューロトラッシュか」(『思想2016年4月号』岩波書店)など。 芸術ときくと,まったく興味のない人もいるかもしれない。ところが,しばしば芸術と同じ文脈で取り上げられる美はどうだろう。美はどこにでも立ち現れる。海の日の入り,お気に入りの絵画,好きな人の顔。見た目だけの話ではない。心根の綺麗さ,友情の美しさ。善行や正義を美徳としない文化はないだろう。かように多様な対象を貫く「美」という感覚。これがわたしたちにどんな意味をもっているのか,脳機能画像法を利用して研究して