先日、菅首相が浜岡原発を停止する決定を発表した。 その決定の根拠は、政府の地震調査委員会が発表している将来の地震確率が30年以内に87%と高いことだという。そして、他の原発は止めないし建設中のものの工事も続けることが政府から引き続いて発表された。 地震学者である私から見ると、これは決定の責任を地震学に負わせた責任逃れにしか見えない。私がかねてから主張しているように、地震学は「地震予知」にも「将来の地震確率」にも「活断層調査」にも解決には遠い問題があるレベルでしかないのである。 今回の東北地方太平洋沖地震で、またも地震予知のむつかしさが明らかになった。もっとも地震予知がしやすいはずの海溝型地震で、しかもあんな巨大地震でも、どんな前兆も観測できなかったのである。 世界でも唯一の地震立法、大規模地震対策特別措置法(大震法)は1978年に施行された。この法律の前提として政府が東海地震の予知をするこ
新しいオーシャンエントリーが昨晩できたようだ。画像は、まだない。 さて、アメリカ合衆国地質調査所のハワイ火山観測所が毎朝出しているキラウエア火山のレポートを読んでみよう。以下では、数時間前に出たばかりのもっとも新しいレポートを部分和訳する。ハワイ火山観測所は、キラウエア火山のリスク評価を定量的かつ具体的にすることに最大限の努力を払っていることがわかる。立入制限などのリスク管理には立ち入っていない。他機関によるリスク管理をレポート文中で伝達しているにすぎない。この徹底した分権が、キラウエア火山のリスクをうまく処理することを可能にしている。 Recent Status Report, Updates, and Information Releases Kilauea Daily Update issued Mar 6, 2008 07:18 HST Volcanic-Alert Level W
2000年から新宿在住のサイズMのフツーのオッサン=(fujita244)が、新宿のビルの上からフツーの目線でお届けします 2024.07 << 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 >> 2024.09 なかなか決まらない「最先端・次世代研究開発支援プログラム」ですが、 進展があったようです。 関連エントリ:年度内に使えるのか?:最先端・次世代研究開発支援プログラム まだ決まらないとは:最先端・次世代研究開発支援プログラム こちらのサイトで情報を得ました。 最先端・次世代研究開発支援プログラム、方針公表@科学政策ニュースクリップ >内閣府が1月26日付で以下の文章を公表した。 最先端・次世代研究開発支援プログラム公募・選定等の方針 平成22年3月15日 平成23年1月25日改定 総合科学技術会議 次世代プログラム運営会
気候変動に関する事実をどれほど明確に説明しても十分とはいえない。国民の信頼を得るには、研究者が自らのやり方を変える必要がある。 地球温暖化に関しては、それを裏付ける有力な科学的証拠が存在している。最近、イーストアングリア大学(英国ノーフォーク州ノーリッチ)から流出した電子メールと、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の最新評価のもととなるデータの欠陥を巡るスキャンダルが勃発したが、地球温暖化の証拠自体は揺らいでいない。そこで問題となるのは、こうした論争によって、気候科学、さらにはその研究者自身に対する国民の信頼が、どの程度損なわれたのかという点だ。 ある程度、信頼度が低下したことは間違いない。しかし複数の世論調査のデータを詳しく調べてみると、国民は、研究者を信頼しており、地球温暖化の存在を信じ、それについて政府が何らかの対策を講じることを望んでいる、と大まかにいうことができる(Natu
検証委員会での証言:行動規範と迅速なコミュニケーションが重要 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の前議長は、IPCCは行動規範を定め、誤りを迅速に訂正できるような仕組みを作るべきだと発言した。 6月15日に、1997年から2002年までIPCCの議長を務めたRobert Watsonは、IPCCへの信頼回復を託された独立検証委員会の前で証言を行った。 委員会は12名の科学者と経済学者で構成され、プリンストン大学(米国ニュージャージー州)の前学長Harold Shapiroが議長を務めている。IPCCはここ数か月間さまざまな批判にさらされており、IPCCと国連が、この委員会に検証を依頼したのだ('IPCC flooded by criticism'を参照)。特に、IPCCは2007年に公表した第四次評価報告書で、「ヒマラヤの氷河が2035年までに溶けてなくなる可能性がある」と述べた部分
Nature 466, 24 (01 July 2010) doi:10.1038/466024a Published online 30 June 2010 | English article 多くの気候科学者が「地球温暖化に対する疑念が高まっているのではないか」と懸念している。こうした懸念の根拠や研究者たちの対応について、Jeff Tollefsonが調査した。 2009年11月、1本の印象的な音楽動画がYouTubeに登場し、何千人もの人々を魅了した。この動画のタイトルは「下降を隠す(Hide the Decline)」。気候科学者のMichael Mannが、過去1000年以上にわたる気温変化を示した有名な“ホッケースティック”曲線を作成する際に不正行為を行った、と風刺したものだ。ギターを弾く子ネコを連れたMannの画像は、「昔の大変な方法でデータを作り、毎日数字をごまかして」と
政府が4日に開いた総合学術会議で発表した「最先端研究開発支援プログラム」の選定結果について、助成を得られなかった申請者の一人の米ベイラー研究所フォートワースキャンパスディレクターの松本慎一氏は、「日本も大型の研究費が配布されるようになったと期待していた分、選考の仕方があまりにも未熟なので寂しく思っていた。今回選ばれた医学系の研究はすべて基礎医学で、臨床につながらない分野のため、国民への還元につながっていかないと思う」と失望感をにじませた。(熊田梨恵) 松本氏は日本国内で初めて膵島移植を行った元京大膵島移植チームリーダーで、膵島移植術に関して世界の第一人者と言われる。ロハスメディアの取材に応じ、今回の研究計画について、申請から発表に至るまでの経過を振り返った。 海外に拠点を置く日本人研究者が日本国内で行われる研究助成に応募できるケースはこれまで少なく、今回の申請に至ったという。松本氏の研究テ
NCNP、日本新薬と開発中のDMDの核酸医薬のフェーズIで安全性確認 (2018.04.20) 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は、日本新薬と共同開発中のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)核酸医薬(NS-065/NCNP-01)の医師主導早期探索的臨床試験(NCT0208162... DSファーマアニマルヘルス、イヌ向けの他家間葉系幹細胞製剤の治験開始(2018.04.20) フランスServier社、アイルランドShire社のオンコロジー事業を買収(2018.04.20) 英GSK社、英Orchard社に希少疾患に対する遺伝子治療事業を譲渡(2018.04.20) 米Arrowhead社、HBV感染に対するRNAi治療薬の延長追跡結果発表(2018.04.20) ELCC2018 IV期のNSCLCの3次治療で抗EGFR抗体necitumumabとabemaciclibの
Comments on WWViews from a Viewpoint of an Expert of Climate Change Risks
このホームページは、アメリカ合衆国における科学政策について議会、アカデミー、定期刊行物、官公庁などから発表される情報をとりまとめたものです。個々の研究成果ではなく、政策論議を中心として扱っており、米国の科学政策における現在の論点や将来への施策を理解する助けとなれば幸いと考えています。法案、報告書等のオリジナルのURLもページ上で紹介していますので、容易に入手できるようになっています。 本ホームページは、2〜4週間毎に、「科学政策の論点」、「報告書・提言」などにおいて新たな内容を追加しています。追加の状況はこちらでご確認ください。 42. 2009年度研究開発予算について報告します。 41. 科学政策に関する論点や制度など、99項目を取り上げました。 40. 政策形成過程におけるリスク評価に関する発表を再構成しました。 39. 基礎研究支援の論拠及び施策についてまとめました。
いろいろありまして、久々のブログ更新です。 現在、サイコムで、大学院ガイドを編集作業中であったりする。大学院進学を考えている人必読の書にしたいと思っているわけである。で、そこで一章、日本の大学院が置かれている歴史的な状況を解説する章をつけたいと思っていた。というのも、博士の失業率が高く、「余剰博士」という言葉まで登場する昨今、大学院に進学することが自分にとってどういう意味を持つかの検討なしに進学することはお勧めできないからである。といって、大学教授たちも先輩院生もあまりそのあたりのことを把握しているとは言い難いし、政府が十分な説明責任を果たしているというわけでもない。そこで、世界的に、あるいは日本において科学技術や大学院教育の持つ意味を若干なりと検討してみたいと思った次第である。 しかしながら、残念なことにさまざまな制約から人様にお金をいただけるようなレベルのレポートは作成できないと思われ
国際社会における政治と科学(その1):IPCC報告の科学的知見について どのような分野の政策論争であれ、政治と科学が微妙なところで共鳴する、あるいは、微妙なところで交錯するのには、2通りのパターンがあるのでないだろうか。 第1に、政治的な主張の根拠として用いられている科学的な知見が、政策的な主張と正確には対応していないパターンである。第2に、科学的に信憑性のない知見が、政治的な主張の根拠として意図的に用いられているパターンである。 いずれのパターンにおいても、科学者の側がなすべきことは、非常に明確である。第1のパターンであれば、そうした科学的な知見は、いくら正しいものであっても、政治的な主張の根拠として用いることができないと論じればよい。第2のパターンであれば、政治的な主張の根拠として用いられている科学的な知見が信憑性のないことを明らかにすればよい。 私は、ここで、科学的な知見に裏付けられ
IPCCの報告書にまちがいがあったことが話題になっている。 2007年に出たIPCCの第4次評価報告書(AR4)のうち第2作業部会の第10章「Asia」の10.6.2節「The Himalayan glaciers」(493ページ)の、次の1段落のヒマラヤの氷河の将来見通しに関する記述が科学的根拠がないものだった、ということだ。(日本語訳は国立環境研究所の次のサイトから公開されているものによっている。 http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/ipcc-ar4-wg2/ [2010年7月29日、サイトのURL変更を反映した。]) ヒマラヤにある氷河は、世界のほかのどこよりも急速に後退しており (表10.9参照)、もし地球が現在の速度で温暖化し続け、現在の速度<での後退>が続けば、2035年までに、あるいはそれよりも早くそれらが消滅する可能性は非常に高い。そ
1月25日の記事への補足を述べる。同じことはくりかえさないので前の記事を参照していただきたい。 ヒマラヤの氷河に関する資料として、アメリカの雪氷学者Kargel氏が中心となって作られたプレゼンテーションファイル(pptもあるがPDF版(8 MB)にリンクしておく)を教えていただいた。名古屋大学の藤田耕史さんも氷の質量収支などの研究成果で寄与しておられる。ただしこれはしろうと向けにわかりやすいものではない。2009年12月のAGU (アメリカ地球物理学連合)という学会の大会の中で、人間活動によるblack carbon (すす)の氷河への影響が重要だという議論があり、その背景説明として、ヒマラヤの氷河の基礎知識を提供し、あわせて最近の話題にコメントしたものだ。IPCC第4次報告書の件は46ページ中40ページめにある。最後の3ページは文献リストになっている。 IPCCのまちがいと、それが報道さ
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