<『ヒルビリー・エレジー』が話題となり邦訳も出たが、実はそれだけではない。同様に話題になったのが、政治学者による『憤怒の政治』と、社会学者による『故郷を失った人たち』。いずれも「共和党を支持する白人労働者層の生態と心理の入門書」だ> 本稿では、ドナルド・トランプ大統領を生み出した社会的な背景を理解する書として米国内で話題になった最近の二冊の著作を紹介したい。いずれも、トランプの登場そのものについて語られたものではなく、リベラルな人たち向けに書かれた「共和党を支持する白人労働者層の生態と心理の入門書」というべきものである。こういったジャンルの本が存在すること自体がアメリカ政治の直面する党派的分裂の深刻さを浮き彫りにしているといえよう。 トランプに熱狂する白人労働階級「ヒルビリー」の真実 『The Politics of Resentment(憤怒の政治)』の著者のキャサリン・クレイマーは、ウ