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ブックマーク / www.anlyznews.com (30)

  • 森友学園問題の事件の構図を断定する前に

    昨年末の会計検査院の報告と、ここ一週間の決裁文書改竄の顕在化で、理財局の官僚が森友学園に国有地を根拠の弱い価格で売却し、しかも関連文書を積極的に廃棄するばかりではなく、文書改竄でその事実を誤魔化そうとしていた事が明らかになった。麻生財務相の責任を問う声や、安倍総理などの関与を疑う声が上がっているのだが、事件の構図を描くにはまだ早いことに注意しよう。 一年ぐらいアレコレやっているわけだが、事件の核心には大きく迫れていない*1。政府が何か隠している気がするので、政治家に不正があったと言いたくなるのは分かるのだが、まずは以下の外堀を埋めないといけない。 1. ゴミ処分費用の見積もりを行なった職員の事情 会計検査院が国有地の売却金額は不適切だと結論している*2が、なぜいい加減な仕事をしたのかは分かっていない。ポイントはゴミ処分費用の見積もりなのだが、それを行なった国土交通省大阪航空局職員を国会に呼

    森友学園問題の事件の構図を断定する前に
  • 三浦瑠麗「スリーパー・セルはあります!」: ニュースの社会科学的な裏側

    国際政治学者の三浦瑠麗氏が、テレビ番組で日の大都市近郊に北朝鮮の工作員が潜んでいると言ったので盛り上がっている*1。少なくとも昨年の11月24日には同様の主張している*2ので通常運行の三浦氏だと思うのだが、遅れて生じる批判と言うのもあるだろう。それはよいと思うのだが、炎上する方向性がよろしくない。テロリストがいると言う指摘だけでは虐殺は起きない*3し、北朝鮮工作員のテロ活動は危惧されて対策は取られている*4。ただ、スリーパー・セルと言う存在を無理に強調しているのが奇妙だ。 1. スリーパー・セルは潜在テロ実行犯 イスラム教過激派アルカイダの各国の指導部をとりまく集団活動単位をセルと呼び、各セルのサポーター役をスリーパー・セルと言うそうだ*5。一般市民が突然、アクティブなテロの実行犯となる。司法の上位にシャリーアが来ると考えるムスリムは、社会に不満があると確信犯になりやすい。潜在的にイスラ

    三浦瑠麗「スリーパー・セルはあります!」: ニュースの社会科学的な裏側
  • 加計学園問題の未確認・未弁解事項の整理

    臨時国家の開催がいるのか、野党4党が当初求めていた閉会中審査で済むのかはさておき、加計学園系列の岡山理科大学の獣医学部の設置認可に関して政府の未確認・未弁解事項の整理しておきたい。未解明事項ではないから悪しからず。 「広域的」が意味するところで政府答弁に一貫性が無い 京都産業大学のための「関係省庁等からのヒアリング」が行なわれていない 既存獣医師養成課程は“国際水準”に永久に至らないのか? 今後の既存獣医師養成課程の新設における政府方針 国民全員が納得するまで弁解しろと言うのは無理難題であろうが、一貫性の無さや手順の省略については一言ぐらいは弁解すべきだし、今後の文教政策の方針ぐらいは明確にすべきであろう。 1. 「広域的」が意味するところで政府答弁に一貫性が無い 山幸三地方創生相は3月30日に「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と言う条件で今治が優先になる(→京都は排除

    加計学園問題の未確認・未弁解事項の整理
  • ネトウヨ「反対するなら対案を出せ」民進党「出していますよ」

    ネット界隈の安倍総理のファンが「反対するなら対案を出せ」と民進党にケチをつけているのを見かけることがある。現状維持も対案ではあるが、共通認識として解決しなければいけない問題があったときに、対案がないのに反対だけ連呼されても困るのは確かだ。民進党が何でも反対だけしているのであれば、やはり政権担当能力は無いと見なすしか無いであろう。しかし報道もされているわけだが、民進党は重要法案に反対するときには対案を出している。 「テロ等準備罪」(「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案)の対案としては、「航空保安法案」と「組織的犯罪処罰法改正案」を出しているし、安倍総理のファンが気にする経済政策も「民進党の経済政策」と言う形で出している。蓮舫代表は人口減少に向き合う姿勢を強調しているし、課税を中心とした財源確保により少子化/高齢化対策を行なうと言うのは不明瞭な方針ではない。また、財源不明と言う事

    ネトウヨ「反対するなら対案を出せ」民進党「出していますよ」
  • 原田泰日銀審議委員のナチスの経済政策の政治効果の認識でおかしいところ

    リフレ派(だったはずの)原田泰日銀審議委員が都内の後援会で述べた、ナチス・ドイツの経済政策の政治効果についての持論が取り上げられている*1。以前から繰り返している「インフレもデフレも悪いが、デフレの方がより悪い」*2と言う二元論的リフレ派論法の一つだ。色々と問題があるのだが、ネット界隈のリフレ派には「原田発言のどこが問題なのか全くわからない」と言い出す人がいるので、分かりやすい問題点を指摘しよう。ヒットラーは雇用改善の前に独裁体制を確立している。 日付の問題である。原田氏は「ヒトラーが正しい財政・金融政策をやらなければ、一時的に政権を取ったかもしれないが、国民はヒトラーの言うことをそれ以上、聞かなかっただろう」と言っているのだが、ナチスが第一党になるのは1932年7月で、ヒットラー内閣ができるのは1933年1月。次の選挙で大勝し、全権委任法で地盤を固めるのは1933年3月になる。政権取得後

    原田泰日銀審議委員のナチスの経済政策の政治効果の認識でおかしいところ
  • 国家戦略特区諮問会議の民間議員は、参入規制の撤廃か緩和にしか興味が無い

    加計学園系列の岡山理科大学の今治市の獣医学部の設置に関して「有識者議員による国家戦略特区に関する記者ブリーフィング」が行なわれ、民間の有識者議員がその正当性を説明していた話を確認してみたのだが、選ばれている有識者議員はミクロ経済学の教科書的に寡占市場をより競争的にすることにだけ問題関心があり、獣医師養成カリキュラムや感染症の水際対策、獣医師偏在問題にはほとんどない事が分かった。 1. 参入規制緩和推進チーム 参入規制緩和推進チームであることを確認しよう。配布資料を見ると「1、岩盤規制改革がようやく実現した」と岩盤規制の打破を目指してきた事を隠していないし、記者会見を見ても「医学部や獣医学部の新設を認めない告示そのものを撤廃すべき」「告示で新設を規制することについての根拠を示せないのであれば、告示の廃止をすべき」と参入規制の弊害を前提とした上で、相応の理由が無い限りは参入規制を撤廃すべきだと

    国家戦略特区諮問会議の民間議員は、参入規制の撤廃か緩和にしか興味が無い
  • 加計学園問題:安倍総理のクローニー・キャピタリズム疑惑

    前川前事務次官の証言により官邸からのトップダウンで、加計学園系列の岡山理科大学が今治市に獣医学部の設置が認可された事が明らかになりつつある加計学園問題だが、何が問題なのか分からないと言う人を少なからず見かける。政治中枢にクローニー・キャピタリズム(縁故資主義)が蔓延っている可能性を示唆していることに気づいていないようだ。トップダウンで下した決定に公益性が認めれらなければ、そうである蓋然性はかなり高い。 加計学園問題が特異なところを確認しよう。 安倍総理と加計学園が縁故と言えるぐらい懇意である。安倍総理は加計学園系列の大学の監事をして報酬を受け取っており、加計学園は昭恵夫人の慈善事業を支援していたことが報じられている*1。政財界で血縁などでの繋がりは多々あるものの、例外的な案件で、ここまで首相と関係が深い関係者は珍しい。 加計学園に極めて有利な状況が、安倍政権になってから作られた。2015

    加計学園問題:安倍総理のクローニー・キャピタリズム疑惑
  • メカニズムデザインによる過剰予約時のやりくり法

    予約していても来ない客がいるため、航空会社は席数よりも多い予約を受け付けており、予約客が多くやってきた場合は、オーバーブッキングとして予約客の(大抵はやんわりとだろうが)搭乗拒否を行なっている。緊急かつ優先的に優待客や従業員を輸送しないといけないときに座席の余裕が無い場合も、同様にオーバーブッキングとして処理が行なわれる。 予約客としては、自分に非はない不都合だから、面白くは無い。日の航空会社は穏便に処理しているようだが、米国の航空会社にはこの始末が下手なところもあり、4月9日にユナイテッド航空が下手な対応をした上に、当初、まともに謝罪も行なわず激しい非難を受けていた*1。経営が下手な大企業が何故か多いMBAだらけの米国社会である。それはさておき、穏当に対処する方法を考えてみたい。 1. 抽選によるキャンセルは非効率 ユナイテッド航空は、まず、800ドル相当のバウチャーを補償として提示し

    メカニズムデザインによる過剰予約時のやりくり法
  • こども保険は嫌税政権での現実的な妥協案

    公的年金保険料を増額して未就学児の児童手当の上乗せと保育所の拡充を図る「こども保険」だが、保険と言うよりも所得分配政策に近いので、経済学者の島澤諭氏「違和感を感じる」、中田大悟氏が「理解に苦しむ」と批判している一方で、公的年金の賦課方式において子育てをしない家計が出てくるフリーライダー問題を緩和する機能があると、小黒一正氏が『「こども保険」の理論的な整理』でその意義を紹介している。 世代間扶養を前提とした公的年金は、現役世代が払った保険料が、高齢世帯の給付金額になる。ある世代(t世代)への給付が、その次の世代(t+1世代)の人口に依存するのだが、t世代の中で経済的負担を行い妊娠・出産をした子持ち家計も、そうでない子無し家計も同じ年金給付を受け取る。子育てによる経済的負担を敬遠しつつ、公的年金を享受するある種のフリーライドが可能になるわけだ。話題の「こども保険」は、これによる不公平を是正し、

    こども保険は嫌税政権での現実的な妥協案
  • 21世紀の黒い経営学

    人から見ると米国企業の労働生産性や収益率は驚異的なのだが、中身はそんなに良くないかも知れない。どうも古いスタイルの経営学で強調されるような話によって、経営効率が増していると言うわけではないようだ。 The Economist誌によると(昔風の)経営理論が主張するところと異なり、ビジネスの変化の速度は遅くなり、反グローバリズムの風が吹いている一方で、寡占化で非競争的になり、企業家精神は廃れている*1。現在の歴史的な高収益は、合併や法律に習熟することで独占力を増し*2、年金基金の主導で非競争的な環境を作り出し、ロビー活動で有利な規制を作ることによってもたらされている。実際、海外比率が高い米国企業の国内外の収益率の差を見ると、米国内の方が4割以上高い*3。 自由主義の信奉者的に言われることが多いThe Economist誌が規制強化を訴えているのが面白いのだが、正面から競争を行なっていっても

    21世紀の黒い経営学
  • 森友学園国有地売却不正疑惑を決着に導くための単純な方法

    国有地売却及び小学校の設置認可に政治関与が無かったかが国会で追及されている森友学園問題だが、政治家や財務官僚などに政治関与が無かったか聞いて回ると言う茶番になっている。自ら関与があったと言うはずがなく、もう少し客観的な証拠を固める方が建設的だ。国有地売却価格が適切であったかについてまだ決着がついていないので、そこの関連部分を攻める方が適切であろう。見積もりが不適切である事を証明できれば、官僚の怠惰と政権与党の不監督もしくは政治関与のどちらかがあった事になる。 見積もりの適正さは、地下3mより深いところにあるゴミの分量が撤去費用8億1900万円相当分あるか否かにかかっている。2009年から2012年までに見つかった深さ3mまでの廃材と生活ごみは2015年7~12月に森友学園が除去し、その除去費1億3176万円を国が負担したそうで、8億1900万円は工事で杭を打つ際に見つかった深さ3m以下のゴ

    森友学園国有地売却不正疑惑を決着に導くための単純な方法
  • 日銀券が日銀の負債である理由

    昔の紙幣は兌換銀行券と言って、金や銀などの貴金属との交換が保証されたものであったから、中央銀行にとって発行した紙幣が負債であるのは明白であった。一方、現在、日銀行が出している紙幣は不兌換で、法的に何かの返済義務を負っているわけではないから、その負債性が見えにくくなっている。償還日がない発行済紙幣は、日銀のバランスシートの負債ではなく純資産(資)に計上すべきと言う声もそこそこ聞かれるぐらいだ。しかし、日銀が状況に応じて日銀券の回収を行なう義務を負っているからこそ、日銀券の価値と機能が維持されている。だから、日銀券はやはり負債と考えるのが適当だ。 日銀券に負債性があるのは、銀行券の価値の安定のために、適時、国債を主とした金融資産で日銀券を回収することを予定しているからだ。インフレ率を制御するために通貨供給量をコントロールする必要があるわけで、通貨供給量、つまり発行済日銀券は放置しておいて良

    日銀券が日銀の負債である理由
  • シムズ式脱デフレ策に乗るべきか?

    インフレ目標達成までの消費税増税延期をすべきと言うシムズ式脱デフレ策が、マクロ金融政策に興味がある人々の間で話題になっており、国会質問でも言及されていた*1。日銀が国債の4割以上を買い占めるという大規模な量的緩和にも関わらず、未だにインフレ目標に未達の現状から、一部の量的緩和信奉者以外には金融政策の限界についてコンセンサスがあるようだ。消去法でシムズ式脱デフレ策は有力なデフレ対策になるわけだが、今から乗るべきかと言うと疑問符がつく。 1. デフレ脱却は必要なのか? ノーベル賞受賞経済学者のクルッグマンとシムズは、デフレは良く無いと言っている。しかし、ずっとデフレであった日経済はスティグリッツに言わせれば良いことになるし、クルッグマンも悪くないと言っている*2。景気は決して悪くないし、日だけ成長して来なかったと言うこともない*3。デフレ脱却をしたらさらに良くなるのかも知れないが、それはシ

    シムズ式脱デフレ策に乗るべきか?
  • FTPLでも財政破綻はする

    将来的な基礎的財政収支の黒字化を否定する人は少なくない。増税せずに財政赤字を放置してもインフレになるだけなので財政再建不要、日銀が国債を買って通貨供給すれば財政再建は完了などと言うような主張を聞いたことがある人は多いと思う。最近、こういう事を言ってきた人がFTPLに言及しているのを見かけるのだが、FTPLは彼らの説の強化には使えない。何か勘違いしているようだ。この理論、最後はあっさり財政破綻する。政府余剰の割引現在価値がマイナスになったらゲームオーバーで、幾ら物価が上がっても均衡しない。 学術論文にある複雑なモノはともかく、家計と政府の二部門経済などシンプルな仮定を置いた教科書的なモデルでは、パラメーターを幾つか仮定して数値演算するのは難しくない。 河越・広瀬(2003)の説明のモデルを踏襲して、上の三の式から数値計算を行なってみた。名目金利を3%で固定、実質金利を1%、インフレ率を2%

    FTPLでも財政破綻はする
  • 世界はデフレでも成長している

    国際決済銀行(BIS)のペーパーで、歴史的には世界はデフレでも成長している事を説明しているモノ*1が流れていたのだが、この世の問題を全てデフレに帰着しがちな人に読ませたいものとなっていた。1870年から2013年までの38の国と地域を対象にした分析を行い、大恐慌を除けば消費者物価の下落は経済成長に影響を与えているのか怪しい一方、資産価格の下落は影響を与えていると言えるそうだ。このペーパーを読む限り、そう頑張って脱デフレをする必要は無さそうである。 分析期間全体で単回帰分析をすると消費者物価と経済成長率に相関が無いわけではないのだが、大恐慌のある期間を除くか、資産価格も加えて重回帰分析をすると、消費者物価と経済成長率の関係い有意性は観察されなくなる。ボラティリティから見て粘性デフレ期だけを取り出しても、傾向は変わらない(右上図)。テクニカルには物価が経済成長率に与える影響と、経済成長率が物価

    世界はデフレでも成長している
  • FTPLでは量的緩和の効果は否定されている

    ネット界隈のリフレ派で、FTPLとリフレーション政策の中核である量的緩和が親和的だと言い出している人がいる。FTPLを使ってインフレ誘導ができると聞いて、インフレ誘導策であるはずの量的緩和と方向が同じと発想したのだと思うのだが、FTPLの代表的論文にある数式を確認すると、そこでは量的緩和の効果は否定されている。 最近のFTPL伝道師、ノーベル賞受賞経済学者のシムズ教授が参照しているWoodford(1995)*1の(1.2)式と(1.9)式を見てみよう*2。 一般向けの紹介だと、Wが国債のように説明されるので貨幣が入っていないように思うのであろうが、実は政府純負債で貨幣と債券の合算値になっている。ここに貨幣が入って来ないと、政府は物価上昇なく貨幣発行だけで財政を永久に賄えてしまうのだ。河越・広瀬(2003)の説明では、(モデル上、政府負債と一致する)家計保有資産として、誤解が少ないように表

    FTPLでは量的緩和の効果は否定されている
  • 消費増税後も家計消費はある意味低迷していなかった

    ネット界隈ではもちろん、メディアにおいても2014年の消費増税後に消費低迷が言わるようになって久しい。家計調査や商業動態統計では確かに低迷しているし、半年前までのGDP統計でも家計消費支出は低迷していた。しかし、増税による不景気が生じたはずなのに完全失業率は低下していき、雇用者報酬も増加した*1。消費と雇用に齟齬が生じていたわけで、これが一つの謎であった。だが、少子高齢化で医療や介護サービスへの需要が増えている事に気づくと、このパズルはあっさり解ける。 現代日人は、財布の中からお金を出すモノだけを消費するわけではない。現物社会移転と言う分類になる公的補助があるので、医療や介護サービスは利用時の自己負担比率が低く、逆に社会保険料や税でその原資が徴収され、他の消費を圧迫している。これが少子高齢化で年々増加しているので、家計消費支出だけを見ていると、消費の傾向を見誤る事になる。 実際に現物社会

    消費増税後も家計消費はある意味低迷していなかった
  • 高齢化の影響を除外すれば、日本も成長している

    ネット界隈には今の失業率でも景気が悪いといい続けている人々は相当数いて、最近はその根拠として日だけ一人あたりでも成長していないような事を言っている。確かにGDP成長率どころか、一人あたりGDP成長率でもぱっとしない数字が出てきているのだが、どちらも少子高齢化の影響を受けている事に気づいていないようだ。かつて白川日銀総裁(当時)が指摘していた事の請け売りだが*1、生産年齢人口一人あたりのGDPで見ると、少なくとも現在の日経済は悪くは無い。 かつて白川氏が示したグラフだと、恣意的に期間を切り取っているように思われるらしいので、期間を長くしてバブル崩壊直後の1994年から2013年までの(古めかしいカテゴリーではあるが)先進七カ国のGDP水準の推移を、1994年を100と正規化して見てみよう。 他国に追いついているので、日だけ成長していないと言うことは無く、1998年以降の金融危機の影響か

    高齢化の影響を除外すれば、日本も成長している
  • 雇用改善しているのに、景気が良くない気がする理由

    金融政策の転換と言う意味でのアベノミクスで景気が回復したような話を良く見かけるのだが、色々と考えると同意しづらい所は多い*1。リフレ派の皆様も、デフレに戻ったので景気対策が必要と言っているので、実のところアベノミクスの成果をそんなに認めていない。なぜ、雇用が良い*2のに、景気が良くない気がするのであろうか。既に反安倍の人々が指摘している事を、請け売りしたい。つまり、高齢化に伴い介護サービスの従事者が増えている一方で、その他の就業者数が以前の水準に回復しているわけではないからだ。 1. 雇用をひっぱる福祉・医療分野 「第12回改定日標準産業分類別就業者」の業種別就業者数のうち、製造業、建設業、福祉・医療の変化を見てみよう。 福祉・医療の従事者数は2002年から2016年までの間、景気の影響を受けずだいたい同じペースで伸び続けている。ここから、2013年4月からの異次元緩和などの影響は受けて

    雇用改善しているのに、景気が良くない気がする理由
  • 釜山の慰安婦像設置はのんびり眺めるべき: ニュースの社会科学的な裏側

    韓国政府が2015年12月の日韓合意でソウルの慰安婦像撤去に努力する事を約束したとされる状況で、同様にウィーン条約に反する事になる釜山の慰安婦像が設置された事に関して、日政府が韓国政府に抗議を行ない、ネット界隈の世論も揺れている。韓国政府や韓国社会を糾弾する声が多いのだが、あちらの事情をもう少し分析的に見ていこう。日韓合意がどうなるのか見通しは悪かったのだが*1、今までの韓国政府は頑張ってはいる。慰安婦像の撤去は日にとっても小事であるし、間違うと大きな問題に波及しそうなので、事を荒立てないように見守る方がよさそうだ。それに慰安婦像自体も、時間を置く方が撤去が容易になる。 1. 韓国一般市民の認識は90年代から変わっていない 日韓で事実認定に差があることは忘れてはいけない。今では否定されているのだが、朝鮮半島において家庭から官憲が少女を連行して従軍慰安婦にしたと言う、慰安婦は無垢な少女で

    釜山の慰安婦像設置はのんびり眺めるべき: ニュースの社会科学的な裏側