【モスクワ=副島英樹】旧ソ連バルト3国の一つ、リトアニアのクライペダ市の裁判所が、ナチス・ドイツのシンボルだった「かぎ十字」について「バルト民族文化の価値あるシンボルだ」との判断を示した。リトアニアの法律は集会での「かぎ十字」の掲示を禁じているが、「歴史的遺産」のお墨付きを得た形だ。 裁判は、独立回復記念日の2月16日に若者グループが「かぎ十字」を掲げて集会に参加、4人が警察に拘束された事件を巡るもの。公判で被告側は、発掘された指輪やブローチなど多数の考古品に太陽のシンボルである「かぎ十字」が描かれていると主張。5月18日に出された判決は歴史的遺産と認め、使用を禁止してはならないとした。 リトアニアは1918年2月にドイツ占領下で独立を宣言。39年の独ソ不可侵条約の秘密協定で40年にソ連に併合され、91年9月にソ連が独立を承認した。ソ連の「鎌と鎚(つち)」マークも掲示が禁じられている。