「日本では貧困対策においても、衣食住が満たされない絶対的貧困層を前提に語られることが多いんです。相対的貧困層に対しては、働いているのに貧困に陥るのは個人の問題。子どもの貧困は親の責任で、親が解決すべき問題。なのに、それらの人々を公的に支援する必要があるのかという声が大きい」 阿部さんが、日本の貧困問題に関心を持ったきっかけは、通勤途中に見かけるホームレスの姿だったという。それ以前に国連で途上国の開発支援に携わった経験がある阿部さんは「日本でも途上国と同じ問題がある」と思った。 ボランティアでホームレス支援の活動に携わったこともある。しかし、支援者に投げかけられる周囲の言葉は痛烈だった。 〈好きであんな暮らしをしている人など、放っておけばいい〉 〈働く気もない怠け者をなぜ支援するのか〉 失業対策は解決策にならない 「ホームレスでさえそうです。それが仕事を持つワーキングプアとなったら、働いてい