世界の金融市場で、一度収束しかけていた欧州債務問題への懸念が再浮上している。3月20日に満期が到来したギリシャ国債は、ユーロ圏の巧妙な政治的操作で難局を何とか切り抜け、欧州中銀による1兆ユーロを超える3年間の流動性供与という奇策もあって小康状態を迎えていた欧州国債市場は、スペインやイタリアの国債利回りが再上昇し、昨年末の恐怖感がよみがえりつつある。 ユーロ圏は、ギリシャに始まった債務危機を克服するために欧州金融安定基金(EFSF)と欧州安定メカニズム(ESM)という二つの支援基金を並走させて、その総額を8000億ユーロ(新規の実質的な消火パワーは5000億ユーロ)とすることで合意し、国際通貨基金(IMF)がこれに呼応して支援体制を表明してくれることを待つ、という戦略を立てたが、それがうまく作動する前に、スペインの財政状況に対する懸念が再燃してしまったのである。 政治家としての限界を露呈した