AIJ投資顧問による年金消失事件を受け、再発防止策を検討してきた厚生労働省の有識者会議(座長・山口修横浜国立大教授)は29日、最終報告書をまとめた。厚労相が厚生年金基金に出す「解散命令」の機動的発動や、基金が解散時に国へ返さねばならない資金の減額を求めるなど、財政改善が見込めない基金の「退場」を促している。 国への返済額が減ることで生じる不足は公的年金の厚生年金資金で穴埋めすることになるが、現状を放置すれば母体企業の連鎖倒産を招きかねず、容認する考えを打ち出した。厚労省は報告書を踏まえ、来年の通常国会に関連法案を提出する。 厚生年金基金は私的な企業年金に加え、厚生年金の一部を国に代行して運用・支給している。だが、景気の低迷で全体の4割、212基金は厚生年金分の財源さえ足りない「代行割れ」に陥っている。