■関連記事 「地域間格差拡大論のウソ――格差縮小を示すマクロ指標はなぜ無視されるのか?」 私たち人間は豊かさの絶対水準の変化よりも、身近な格差の変化にはるかに強く反応する動物だ。私の2人の子供は衣食住満ち足り、なに不自由なく暮らしている。にもかかわらず、おやつの配分をうっかりわずかでも違えると、それがもとで言い争いになる。そんな子供を大人は笑えない。 近年の日本はとりわけ格差問題に過敏になっている。今国会では、「格差是正」のキーワードで様々な種類の「格差拡大問題」が論じられている。都市部と農村部の経済・財政格差、正規雇用と非正規雇用の給与格差、家計(あるいは個人)の所得格差などである。 攻める野党は「格差拡大は小泉・安倍政権の負の遺産」だと攻撃し、守る与党も「格差是正」への配慮を唱える。ところが、日本社会全体として本当に格差拡大が進んでいるのかどうか、実証的な検証がなされないまま議論が展開