■相次ぐ発見にも慎重…定説に至らず 一研究者が石器を自分で埋めていた「旧石器発掘捏造(ねつぞう)問題」から10年。この問題で、国内の最古石器は後期旧石器時代(3万5千〜1万6千年前)とされ、前・中期旧石器時代の発掘は否定されたままだ。最近も各地で石器の発掘が相次いでいるが、捏造の傷跡が深い考古学界は認定に慎重で、今も激論が続いている。(猪谷千香) 昨年9月、島根県・砂原遺跡で12万年前(後に12万〜7万年前に訂正)の地層から“石器”が出土、「日本最古」と発表された。石器とは人為的に作られた石の道具を指し、人がいた証左になる。調査団の見解が正しければ、中期旧石器時代に日本に人類が住んでいた大発見につながる。 しかし、学界には懐疑論が少なくない。 理由のひとつは砂原遺跡が学界の本格的な検証を待たず、公表されたこと。捏造問題のときも発掘し、すぐに「〇万年前」と発表するパターンで、報道陣の