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ブックマーク / econ101.jp (38)

  • ノア・スミス「Twitter 入り浸りは精神衛生に有害」(2024年3月9日)

    ソーシャルメディア利用と精神衛生の悪化の相関を見出してる研究は山ほどある.でも,de Mello, Cheung, & Inzlicht によるこの研究こそが,ぼくにとっては真打ち登場って感じだ: 世間の論議では,よく,Twitter(現 X)がユーザーと社会に有害な影響を引き起こすと言われている.稿では,合衆国の Twitter ユーザーたちの代表的標から252人の参加者を得て調査を行うことで,この研究課題に取り組む.我々は,一日5回の質問を7日間にわたって継続した(6,218回の観察).調査結果から,Twitter 利用が幸福度の悪化および政治的二極化・怒り・帰属感覚の増加に関連していることが明らかになった.効果量は,社交的なやりとりが幸福度にもたらすものに近い.こうした影響は,人口統計上の特徴〔年齢や居住地域や就業状況など〕や性格特性を考慮しても一貫していた.データから推測される

    ノア・スミス「Twitter 入り浸りは精神衛生に有害」(2024年3月9日)
    okbc99
    okbc99 2024/03/15
    “調査結果から,Twitter 利用が幸福度の悪化および政治的二極化・怒り・帰属感覚の増加に関連していることが明らかになった.”
  • ジョセフ・ヒース「白人のマウント合戦:コフィ・ブライトの仮説を拡張する」(2023年8月25日)

    アメリカでは人種的正義を求める闘いに馳せ参じれば並外れた文化的名声を獲得できるため、世界中で模倣者を惹きつける傾向を生んでいる リーアム・コフィ・ブライトが『Journal of Political Philosophy(政治経済学ジャーナル)』に最近投稿した論文「白人のマウント合戦」での、アメリカの人種政治についての見解を大いに楽しませてもらった。まず最初に、この論文は査読の通過がほぼ不可能な形で執筆されているため、無事掲載されたこと自体に驚かされた。アカデミアにおける哲学論文は、査読者全ての怒りを鎮めることで、あたかも委員会によって書かれたように見えてしまう問題に悩まされている。さらに重要なのが、私見だが、アメリカ文化戦争に、ブライトのようなイデオロギー的に客観的なスタンスを示すことの極めての有用性である。 ハッキリ言っておくが、私はブライトの見解のほとんどに同意できない。しかし、彼

    ジョセフ・ヒース「白人のマウント合戦:コフィ・ブライトの仮説を拡張する」(2023年8月25日)
  • ノア・スミス「実は日本は様変わりしてるよ」(2023年1月23日)

    By 稲ノ歯鯨 – Own work, CC BY-SA 4.0 2020年代は1990年代とはちがう BBC の東京特派員ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズが書いた,日についてのエッセイが広く話題になってる〔日語版〕.ぼくも読んでみたけれど,ひどくいらいらしてしまった.このベテランジャーナリストは――2012年から日に暮らして働いたすえに――日の印象をまとめている.彼によれば,日は停滞して硬直した国で,「ここに来て10年経って,日のありようにもなじみ,次の点を受け入れるにいたった.日は,変化しそうにない.」 でも,日に暮らしたことがあって,2011年以降も年に1ヶ月間ほどここに来て過ごすのを繰り返してる人物として,そして,日経済についてかなりの分量を書いてきた人物として言わせてもらえば,日はまちがいなく様変わりしてる.すごく目につきやすくて重要なところがあれこれ

    ノア・スミス「実は日本は様変わりしてるよ」(2023年1月23日)
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    okbc99 2023/02/02
  • ノア・スミス「弱い円は日本にとって好機,なんだけど」(2022年11月24日)

    [Noah Smith, “The weak yen is an opportunity,” Noahpinion, November 24, 2022] じゃあ,なんで日はその好機を利用してないのさ? ぼくが日にはじめて暮らしたのは,2000年代中盤のことだった.当時,円の値打ちはすごく覚えやすかった――だいたい,1ドル=100円だったからだ.どんなものでも,日で値札を見かけたら,頭の中で100で割ってやればだいたいどれくらいの値段なのかつかめた. 「1ドルだいたい100円」為替レートの時代は,約30年続いた.そして,2022年3月に,なにかがブツンといった.円が下がりはじめて,10月には少しのあいだとはいえ1ドル150円にまで下がって,それから1ドル140円にまで少しもどした: Source: Xe.com ドルにかぎらず,日の実質為替レートはあちこちの貿易相手国に対しても下が

    ノア・スミス「弱い円は日本にとって好機,なんだけど」(2022年11月24日)
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    okbc99 2022/11/27
  • 「あらゆる社会問題は『住宅問題』に起因する」(2021年9月14日)

    欧米諸国における住宅不足は、多くの人が自分の家を持つことを妨げるだけでなく、格差、気候変動、生産性の低下、肥満、さらには出生率の低下さえも引き起こしている。 欧米諸国が現在直面する問題として、コロナ禍だけでなく、低成長、気候変動、健康被害、金融不安、少子化などが挙げられる。これら長期的なトレンドは、我々が社会に対して感じる諦めにも似た倦怠感の一因となっている。これらの問題は一見関連性が薄いように見えるが、全てを悪化させるある一つの大きな要因がある。それは「住宅不足」だ。つまり、人々の住みたい土地に建設される住宅が少なすぎるのだ。そして住宅不足の解消は、我々が直面する一見すると無関係な様々な問題の解決につながる。 住宅の高額化による “目に見える” 影響 職場、休日の過ごし方、友人や隣人、どのタイミングで何人の子供を持てるか、そして病気になるリスクまで、住む場所というのは人生のほぼ全てに影響

    「あらゆる社会問題は『住宅問題』に起因する」(2021年9月14日)
    okbc99
    okbc99 2022/11/21
    人口の密集する大都市では労働者の生産性が向上してイノベーションが起こるという話だけど、リモートワークが標準になるとどうなるんだろう。(職種が限られるか)
  • ノア・スミス「習近平よ、永遠なれ。中国は一人の凡庸の男によって自縄自縛となってしまった」(2022年10月17日)

    Xi Jinping, forever China has shackled itself to…this one mediocre guy. Postedby Noah Smith, On Oct 17 2022 僕は中国についての専門家じゃないし、専門家のふりをするつもりはない。でも、去年は、たくさんの人が見過ごしているだろう大事なことを、キャッチできたと思う。習近平は、世間で思われてるほど有能な指導者じゃないってことだ。 ノアピニオン 習近平が、言われるほど有能じゃないだけだとしたら? 習近平は、毛沢東以来の中国の最も強力な指導者として広く称賛されている。確かに彼は、権力を非常に効果的に掌握してきている。習近平は、潜在的なライベルだった薄熙来と周永康を完膚なきまでに失脚させ、「反腐敗」キャンペーン通じて自身が関与していない派閥を粛清・服従させる等、前任の主席の下では中国共産党によって

    ノア・スミス「習近平よ、永遠なれ。中国は一人の凡庸の男によって自縄自縛となってしまった」(2022年10月17日)
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    okbc99 2022/11/07
  • アダム・トゥーズ「ロシア・ウクライナ戦争の半年目:数字上の象徴的な記念日に過ぎないのだろうか? それとも経済的・軍事的な転換点が生じているのだろうか?」(2022年8月25日)

    Chartbook #146 The Russia-Ukraine War At Six Months: symbolic anniversary or economic and military turning point? Posted by Adam Tooze Aug 25 ロシアウクライナへの攻撃を開始して6ヶ月が経過した。 ワシントン・ポスト紙によるこの半年間を総括した二つの長文記事は特筆すべき内容だ。1つ目は、シェーン・ハリス、カレン・デヨング、イサベル・クルシュドヴァン、アシュレイ・パーカー、リズ・スライコーバースによるもので、戦争勃発までのいきさつを包括的に扱っている。2つ目は、ポール・ソンヌ、イザベル・クルシュドヴァン、セヒイ・モルグノフ、コスティアンティン・フドフによるもので、キーウでの戦闘を再構築した記事だ。どちらも強くお勧めする。 半年という象徴的な時を、ウクラ

    アダム・トゥーズ「ロシア・ウクライナ戦争の半年目:数字上の象徴的な記念日に過ぎないのだろうか? それとも経済的・軍事的な転換点が生じているのだろうか?」(2022年8月25日)
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    okbc99 2022/09/04
  • ビル・ミッチェル『日本はMMTの実証にならないという嘘話 — Part 1』(2022年1月3日) 

    Bill Mitchell, “The Japanese denial story – Part 1”, Bill Mitchell – Modern Monetary Theory, January 3, 2022 さて、もう2022年となり、このブログも18年目に突入した。私がこれまでのキャリアを通じて、日経済をかなり詳細に研究してきたことは、いつもブログを読んでくれている読者ならご存じだろう。1992年初めに日が史上最大の資産価格バブルの崩壊を経験したとき、私が追求していた問題と注目していたデータは、それ以来自身のマクロ経済学の研究方法を形作る上で重要なものとなった。 私の考えでは、日は新自由主義の狂気(信用膨張、無謀な不動産投機、そして暴落)に早くも取り憑かれていた国家の一つであり、またより責任ある財政政策(当時の状況ではGDP比10%を超える財政赤字を維持しなければならなか

    ビル・ミッチェル『日本はMMTの実証にならないという嘘話 — Part 1』(2022年1月3日) 
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    okbc99 2022/08/26
  • ブランコ・ミラノヴィッチ「インタビュー:ロシア経済、『資本主義だけ残った』、フランシス・フクヤマ、などについて」(2022年7月20日)

    そこ〔東欧における革命〕には明らかに民主化以上の要素が存在しており、それこそが民族自決だったのです。〔…〕民主主義は、〔民族主義的な革命に〕偶発的に付随したものだったのです。 On import substitution, Fukuyama, eternal growth and more July 30, 2022 Posted by Branko Milanovic エントリは、アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所のジェームズ・ペソコーキスとの対談記事である。 1 ロシアは、広大な天然資源、十分な教育を受けた国民、そして深い科学的基盤を有する国ですが、一人当たりで見るとその豊かさは世界で67番目にあたります。これは一体何故なのでしょうか。 ロシアは、私が「循環型経済史」と呼んでいる問題を抱えています。国家が豊かになるためには、混乱ではなく国内外の平和が必要になります。アダム・ス

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    okbc99 2022/08/20
    “ロシアのウクライナ侵攻がもたらした問題は、政治的に解決することが極めて困難であることから、この制裁は数十年続くものと私は考えています。今回の問題は中東問題…と同じか、それ以上に難しい問題なのです。”
  • ノア・スミス「ウィーブ文化――日本のポップ文化に首ったけの非日本人たち」(2021年4月11日)

    [Noah Smith, “Weebs!” Noahpinion, April 11, 2021; reposted April 7, 2023] 【2023年4月7日の追記】この2週間を日で過ごしていた間,現地のスタートアップ創業者やベンチャーキャピタリストやコンサルタントやあれこれの友人に,「ウィーブ」って単語を聞いたことがあるかって尋ねたけれど,誰ひとりとして知らなくて,びっくりした.なぜって,日文化製品によって,世界規模のサブカルチャーが生まれてるのに,他ならぬ日にいる人たちは,そんなサブカルチャーが存在してることにほぼ気づいてすらいないんだもの.このサブカルチャーは,世間の隅っこの存在でもない――アニメにもなった『SPY×FAMILY』の原作最新刊は,今週,北米でベストセラー1位になっているし,ウクライナの前線に身を置いてる兵士たちはストレス発散のためにピカチュー・ダンス

    ノア・スミス「ウィーブ文化――日本のポップ文化に首ったけの非日本人たち」(2021年4月11日)
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    okbc99 2022/06/23
    “「ウィーブ文化のかなめは,みんなが経験しそびれた恋愛(ロマンス)を取り戻すところにある」”
  • ノア・スミス「安倍晋三のもとで大きく変わった日本」(2022年6月4日)

    [Noah Smith, “The Japan that Abe Shinzo made,” Noahpinion, June 4, 2022] この半世紀で最重要の首相がもたらした3つの大きな変化 今回で,日に関するシリーズは5目になる.これが最後だ.第1回目(翻訳)では,日の生活水準が低めなことを嘆いて,現金ベースの福祉政策を提案した.第2回目(翻訳)では,日が経済成長を加速させるのに使えそうな産業政策をいくつか提案した.第3回目では,日の停滞した企業文化とその直し方を論じた.第4回目では,日のポップカルチャーに関する2冊の書評を書いて,日が経済面で衰退しつつもそのポップカルチャーが世界を制覇したあらましについて述べた. この20年というもの,定期的に日を訪れている.でも,今回の日旅行ではとくに強い印象を受けた.2002年にはじめて日に来たときから,この国の感触

    ノア・スミス「安倍晋三のもとで大きく変わった日本」(2022年6月4日)
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    okbc99 2022/06/09
  • ジョセフ・ヒース「『啓蒙思想2.0』著者自身による紹介」(2014年4月18日)

    Enlightenment week wrap-up posted by Joseph Heath on April 18, 2014 | Uncategorized 私の著作『啓蒙思想2.0』が刊行されてから1週間が経ったが、大変有意義な1週間だった。これは、書の内容から多くを抜粋して掲載してくれた「オタワ・シチズン」誌と「ナショナル・ポスト」誌に大きな恩を負っている(「オタワ・シチズン」は先週の金曜日に、「ナショナル・ポスト」は今週の間ずっと)。しかし、掲載は抜粋だったため、それを読んだ一般読者を、「一体全体このはどういう内容なんだ?」と不思議がらせてしまったかもしれない。 そういうわけで、抜粋掲載されたものがバラバラではないことを示すために、一連の抜粋がどのように関連し合っているかを説明してみよう。 書では、昨今の政治における非合理主義の台頭に、多くの人が懸念を抱いていることを

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    okbc99 2022/05/05
  • ブランコ・ミラノヴィッチ「ロシア経済の展望:まずは短期について」(2022年3月12日)

    [Branko Milanovic, “Russia’s economic prospects: the short-run,” Global Inequality and More 3.0, March 12, 2022] これから,前後編にわけて,ロシア経済の短期と長期の見通しを考える. まずは,短期から考えよう.ここでは,次の想定にもとづいて考察をすすめる.まず,「ウクライナでの武力戦争は数ヶ月で終わる」(つまり,現状のように激しいまま何年も戦争が続かない).そして,「クーデターや革命といったかたちでロシア内部に劇的な変化は生じない」. 短期での各種影響の問題に答えるにあたっては,経済的な低下・衰退をひととおり見ておくのが有益だ.残念ながらも,ロシアは循環的な経済史のおかげでそうした低下・衰退の実例をいくつか提供してくれている.過去100年間で生じた所得低下のなかでもとりわけ悲惨だっ

    ブランコ・ミラノヴィッチ「ロシア経済の展望:まずは短期について」(2022年3月12日)
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    okbc99 2022/03/14
  • ノア・スミス「インタビュー:エミ・ナカムラ,マクロ経済学者」(2022年2月21日)

    [Noah Smith, “Interview: Emi Nakamura, macroeconomist,” Noahpinion, February 21, 2022] どのマクロ経済学者でも,「いまそちらの業界のスターといったら誰です?」って聞かれたら,きっとそのリストのトップかそのあたりにエミ・ナカムラの名前を挙げるはずだ.2019年に,エミ・ナカムラはジョン・ベイツ・クラーク・メダルを受賞した.経済学でとびきり名誉ある2つの賞の片方が,このメダルだ――そして,これがマクロ経済学者に贈られることはめったにない.エミ・ナカムラはもともとカナダ出身で,いまはカリフォルニア大学バークレー校で勤務しながら,並外れたペースでトップ学術誌に論文を載せ続けている. ぼくが初めてナカムラに会ったのは,2011年のことだ.当時,ぼくはまだ大学院生だった.ナカムラはミシガンにやってきて,論文「マネタリ

    ノア・スミス「インタビュー:エミ・ナカムラ,マクロ経済学者」(2022年2月21日)
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    okbc99 2022/03/12
  • ブランコ・ミラノヴィッチ「民主主義サミットは(世界に)害悪を与えるアイデアである」(2021年12月7日)

    The Summit of Democracies is a wrong idea (for the world) Tuesday, December 7, 2021 Posted by Branko Milanovic 12月9~10日に開催される「民主主義サミット」は、100カ国以上から大統領、首相、国王の出席が予定されている。このサミットは、民主主義の原則が国政に適用されている(あるいは表向き適用されている)ことが参加条件となっている歴史上初の国際会議だ。 このサミットに関しては、3つの見解が寄せられている。ナイーブな見解では、集まった国々が自国内での民主主義の原則の適用を改善するため互いに学び合うことに関心をもって皆で集まる会合である、というものだ。(もっとも、そういった場は他にもたくさんあり、新たに創設する必要はなかったのだが…)。もっとリアリスティックな見解では、国連人権保障と

    ブランコ・ミラノヴィッチ「民主主義サミットは(世界に)害悪を与えるアイデアである」(2021年12月7日)
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    okbc99 2021/12/12
  • ノア・スミス「どうしてみんな政府の赤字を心配してるの?」(2021年10月8日)

    [Noah Smith, “Why do people worry about deficits?” Noahpinion, October 8, 2021] もっともな理由から馬鹿げた理由まで,一覧にまとめてみよう ▲ 赤い線はアメリカにおける家計債務の対 GDP 比,青い線は公的債務総額の対 GDP 比を表す. バイデンがインフラを倍々ゲームで強化してお古にバイバイする法案をめぐって… …いや,ごめん.どうしてもがまんしきれなくて.『ブルームバーグ』でぐだぐだと頭韻をやると決まって編集者に削除されちゃうんだけど,こっちだったら好きなだけ言葉遊びに興じられるんだよね.だって,ここではぼくが王様だし!! ブヘヘ. …ともあれ.バイデンの 3.5兆ドル歳出計画の 財政調整措置をめぐる交渉が長引くなかで,アメリカ人はふたたび財政赤字を心配しはじめている.大きな支出計画が出てきたり減税が提案され

    ノア・スミス「どうしてみんな政府の赤字を心配してるの?」(2021年10月8日)
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    okbc99 2021/10/18
  • サイモン・レン=ルイス「なぜ西洋諸国の大半はパンデミックでこれほど失敗したのか」(2021年5月4日)

    [Simon Wren-Lewis, “How most of the West got the pandemic so badly wrong?” Mainly Macro, May 4, 2021] 近頃は,そうそう大したことでは驚かなくなっている私だが,OECD 諸国の大半が今般のパンデミック対応で失敗したのには愕然とした.とはいえ,ジョンソンのイギリス,トランプアメリカ,ボルソナーロのブラジル,モディのインドの成り行きに愕然としたわけではない.こうした国々が失敗する理由は,あまりに歴然としていた.なにより,パンデミックが始まる前から,「イギリスは人命を救うために経済を制限することから手を引く国になるべきだ」と,ジョンソンは考えていた.そうすることで,イギリスは世界経済でなんらかの大きな優位を得られるだろうというのが,彼の思惑だった.これによって国民保健サービス (NHS) が陥っ

    サイモン・レン=ルイス「なぜ西洋諸国の大半はパンデミックでこれほど失敗したのか」(2021年5月4日)
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    okbc99 2021/05/23
    “(駆逐戦略をとった国は,オーストラリア・ニュージーランド・韓国・アイスランド・日本だ)”
  • サイモン・レンルイス「緊縮の教訓はこうして学ばれずじまいになった」(2019年7月23日)

    [Simon Wren-Lewis, “How the lessons from austerity have not been learned,” Mainly Macro, July 23, 2019] イギリスとユーロ圏はどちらも来たるべき景気後退に対して脆弱だが,どちらの政治家たちも中央銀行も,「あちらが景気後退に対応すべきだ」と考えている. イギリス・アメリカ・ユーロ圏で景気後退が生じる見込みについてここで語りたくはない.予想は(必然的に)無益な試みだ.あまりにもいろんな変数が絡んでいるので,正確な予測は立てようがない.リスク要因を洗い出しておくのは有用だし,グレイス・ブレイクリーがここで見事な仕事をやっている.それより,次にもしも景気後退が起こったときに,その影響に対してイギリスやユーロ圏がどちらも脆弱なことを私は懸念している.その脆弱性をはっきり示した実例といえば,グローバル

    サイモン・レンルイス「緊縮の教訓はこうして学ばれずじまいになった」(2019年7月23日)
    okbc99
    okbc99 2019/07/29
  • マシュー・コチェン&ローラ・グラント 「サマータイムは省エネにつながるか? ~インディアナ州における『自然実験』の結果は何を物語っているか?~」(2008年12月5日)

    マシュー・コチェン&ローラ・グラント 「サマータイムは省エネにつながるか? ~インディアナ州における『自然実験』の結果は何を物語っているか?~」(2008年12月5日) ●Matthew Kotchen and Laura Grant, “Does daylight saving time save electricity?”(VOX, December 5, 2008) 省エネという目的を背負っている「日光節約時間」(あるいは「サマータイム」)は地球上で最も広い範囲を覆う規制の一つである。しかしながら、「日光節約時間」(「サマータイム」)に省エネ効果が備わっていることを指し示す証拠は驚くほど少ない。インディアナ州における「自然実験」の結果に照らすと、日光の「節約」は電力消費の節約にはつながっていない(電力消費量をむしろ増やしている)というのが我々なりの結論である。 「日光節約時間」(デイ

    マシュー・コチェン&ローラ・グラント 「サマータイムは省エネにつながるか? ~インディアナ州における『自然実験』の結果は何を物語っているか?~」(2008年12月5日)
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    okbc99 2018/08/21
    “DSTは――政策意図とは反対に――(インディアナ州における)一般家庭の電力需要を高めたというのが我々が見出した主たる発見である。”
  • ズザンナ・イルソーヴァ, トマーシュ・ハヴラニク, ドミニク・ヘルマン 「サマータイムはエネルギー節約にならない」(2017年12月2日)

    Zuzana Irsova, Tomas Havranek, Dominik Herman, “Daylight saving saves no energy“, (VOX, 02 December 2017) サマータイムのもともとの根拠はエネルギーの節約だった。しかし稿が明らかにするところ、この論点に関する現代の実証文献では、平均的にみて何ら節約効果が確認されていない。節約量は緯度と関係している – すなわち、緯度が比較的高い地域では節約効果が僅かに大きくなるが、亜熱帯地域においてはサマータイムのためにかえって消費エネルギーが増加する。スカンディナヴィア地域においてさえ、節約効果は年間エネルギー消費の0.3%程度にとどまる。サマータイムの続用を正当化するつもりならば、政策立案者はこの政策のもつ何か別の効果に着目する必要がある。 ヨーロッパ人やアメリカ人の殆どが、サマータイム (DST

    ズザンナ・イルソーヴァ, トマーシュ・ハヴラニク, ドミニク・ヘルマン 「サマータイムはエネルギー節約にならない」(2017年12月2日)
    okbc99
    okbc99 2018/08/14
    “サマータイムには敢えて語るべきエネルギー節約効果が無いという発見を前にしては、依然として広く援用されているとはいうものの、この政策のもともとの根拠はもはや崩れ去らざるをえない。”