米量的緩和政策の縮小観測や世界的な景気回復への期待感を背景に、米独の長期金利が上昇基調を鮮明にしている。これに対し、日本の長期金利は0.7%台と超低水準で推移し、米独市場との連動性は完全に遮断されたかたちだ。 直接的には「黒田緩和」の手段として日銀が国債を大量に購入していることが効いているが、その日銀は2年で2%の物価目標を掲げており、実現性が高まれば、長期金利は上昇を始めるだろう。「その時」がいつ来るのか──。どうやらすぐには来そうにないという声が、市場では多くなる気配がある。
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米量的緩和政策の縮小観測や世界的な景気回復への期待感を背景に、米独の長期金利が上昇基調を鮮明にしている。これに対し、日本の長期金利は0.7%台と超低水準で推移し、米独市場との連動性は完全に遮断されたかたちだ。 直接的には「黒田緩和」の手段として日銀が国債を大量に購入していることが効いているが、その日銀は2年で2%の物価目標を掲げており、実現性が高まれば、長期金利は上昇を始めるだろう。「その時」がいつ来るのか──。どうやらすぐには来そうにないという声が、市場では多くなる気配がある。
日本の経験で言うと、2001年12月に発表された内閣府の年次経済財政報告は、「改革なくして成長なし」という立派な副題がつくものであった。当時、日本の最大の構造問題は不良債権問題だった。1990年代のいくつかの改革で、日本は不十分だった金融機関の監督制度を見直し始めたが、既得権益の争いによって国民の信頼に足る改革にはならなかった。 前掲の報告書が発表された翌年の2002年になっても、すぐには大きな進展はみられず、金融制度への信頼は戻らなかった。だが、同年9月の内閣改造で小泉純一郎首相が竹中平蔵経済財政政策担当大臣に金融担当大臣を兼務させた後、事態は急展開を見せる。10月末までには新しい「竹中プラン」が打ち出され、その内容には「2年間で不良債権比率を半減させる」などの大胆な目標が掲げられたのだ。
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